データマイニングとは?事例と分析手法、データマイニングに期待されていることを紹介
近年、データマイニングと呼ばれる技術が注目されています。
データ解析に関連する技術で、ビックデータの活用などが注目されている現在、需要が高まっています。
これまでは、統計学的な意味で利用することが多かったですが、それ以外の多くの場面でも利用されるようになっています。
今回は、データマイニングの基礎知識や期待されていること、事例について説明します。
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データマイニングとは?
まずはデータマイニングとは何かについて説明します。
データマイニングの概要
データマイニングを簡単に説明すると、ビッグデータなど大量のデータから有用なパターンやルールを見つけ出す技術です。
人間が統計学の考え方を当てはめたり、AIにデータを理解させたりして有用なものがあるかどうかを調査します。
有用なパターンやルールが見つかった場合は、これをビジネスに活用します。
データマイニングの分析手法
データマイニングの分析手法は一つではありません。
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などがあります。
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『マーケット・バスケット分析』(連関)
『マーケット・バスケット分析』とは、人々の消費行動の中で、何を一緒にバスケットに入れて購入しているのかを見る手法です。
一緒に購入されるものや、その傾向から適切な戦略を練ることができます。
マーケティングなどに活用しやすいでしょう。
※『マーケット・バスケット分析』の例:コンビニで受ける消費財とその傾向を調べている。
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ABC分析(分類)
『ABC分析』とは、グルーピングした後の結果を確認する手法です。
商品を松竹梅ランクにして販売している場合、「松の売れ行きの傾向はどうか?」「竹が売れる際の特徴は何か?」「梅の売れ行きが良くない理由として考えられる事象は何か?」などを考察することが可能です。
※『ABC分析』の例:飲食店のメニューをグルーピングし、傾向を調べている。
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『クラスタ分析』(分類)
『クラスタ分析』とは、集団ごとに分析する手法のことです。
異なる性質を持つ集団の中から、同じような性質を持つクラスタに再編成し、その中で分析を行います。
※『クラスタ分析』の例:商品開発中、テストリリース後の各クラスタにおけるエンゲージメントの差異を調べている。
このほかにもさまざまな分析手法があり、データマイニングを導入する背景や目的によって、分析手法を何にするのかは異なります。
データマイニングは非常に有用なテクノロジーであるものの、適切な分析手法を選択できないと、無価値なものになってしまう可能性があります。
データマイニングを行うためには、どういった分析手法を活用するのかをしっかりと考えておく必要があるでしょう。
テキストマイニングとの違い
データマイニングとテキストマイニングは似たものではありますが、目的が異なります。
基本的にデータマイニングは顧客の情報を分析するのに対して、テキストマイニングは供給側の情報を分析するのに利用されます。
例えば、テキストマイニングの対象には、アンケートの文字列などが挙げられます。
アンケートは供給側に対しての意見であるため、これを分析することでユーザーが供給側にどのような意見を持っているのかを分析できます。
また、分析ができればその内容をもとに必要な対策を講じられるようになります。
人工知能との違い
データマイニング=AIではありません。
しかし、データマイニングの一部ではAIを活用することがあります。
データマイニングを活用する際、仮説を立てる手法と仮説を立てない手法があります。
仮説を立てる手法では、求めるべきものが明らかになっているため、統計学的に処理をします。
ある程度の公式があり、そこに必要なデータを取得し、分析します。
ここではAIは不要です。
しかし、仮説を立てない手法では、データマイニングを活用することもあります。
機械にデータを学習させ、データ同士の関係性を機械に提案してもらいます。
これらは、人間による問題提起ではなく、AIによる提案です。
このため、ここではAIが活躍します。
人間が仮説を立てなくても、AIが自動で分析をしてくれます。
しかし、AIの能力によるということも注意すべきポイントです。
人工知能は、人間の感覚を持ち合わせていないため、AIが提案するデータが人間にとっては当たり前な結果になってしまうこともあるでしょう。
例えば人間は、「雨の日には傘が売れる」というような因果関係を推測することができるものですが、そのような感覚がないAIは分析結果として、「雨の日には傘が売れる」というデータを提案してしまいます。
このため、本来必要としている新しい価値を創造できるようなデータを抽出するためには、人間が適切にAIを使う必要があるのです。
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データマイニングに期待されていること
では、データマイニングにはどのようなことが期待されているのでしょうか。
まずは、
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が必要です。
そして、
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が求められています。
詳しく見ていきましょう。
データの整理
まず、データの整理作業が求められています。
データマイニングは多くの場合、ビッグデータと呼ばれる莫大なデータを対象とするため、これを処理できる状態に成形します。
どのように整理すれば要件を満たすのかは、状況によって異なります。
データマイニングの手法によって、アウトプットの仕方も異なると考えましょう。
整理について明確なルールはありません。
データの分類
整理されたデータを一定のルールに従って分類していきます。
整理されている時点で分類されている可能性はありますが、ここでは並び替えたものを改めてグループ化することを指します。
なお、分類の際に特に重要なのは「どのようなルールで分類するか」です。
分類のルールが適切でなければ、データマイニング自体が失敗する可能性がありますので注意が必要です。
データの関連性発見
分類されたデータをもとに、データマイニングを行い情報の関連性を見つけ出します。
さまざまな観点からデータを比較して、関係性に有用なルールがないか洗い出していくのです。
ルールを洗い出す際には、色々な手法が利用されます。
例えば、グループ間の「結合度」を数値化して、ルールがあるかどうかを評価するものがあります。
ここでも手法を間違えると、本来見つけ出すべき重要なルールが見つからない可能性があります。
ルールを洗い出すための手法も非常に重要な部分です。
ビジネスへの転用
最終的には、データマイニングの活用によって、いかにビジネス課題を解決できるのかどうかが期待されていきます。
購入や受注へ繋げる
データの関連性が見つかれば、それをマーケティングに活用していくことができます。
例えば、売れている商品と年代の関連性が見つかれば、その年代に対して積極的にアプローチしていくことができます。
商品アと商品イが同時によく売れるのであれば、それをレコメンドできるシステムをつくることが大切になります。
データマイニングのゴールは、ルールを見つけることではありません。
洗い出したルールを元に、ビジネスを発展させることこそゴールと言えます。
業務を効率化させる
マーケティングだけではなく、企業の業務効率化にも使われることがあります。
例えば、製造業での製品管理などです。
今まで人為的に確認していたタスクに、データマイニングを活かすことで人件費のカットや生産性向上などが実現でき、企業としては利益率を上げることができます。
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【業界別】企業がデータマイニングを有効活用した事例5選
実際のデータマイニングの事例を見ていきましょう。
教育業界の場合
生徒の学習データに、データマイニングが活用されています。
例えば、一人の教師が、生徒ごとに苦手分野や最適な教育を考案するのは大変です。
人間の記憶量に限界があるだけではなく、工数も足りません。
しかし、データマイニングを活用することで、生徒の成績データをもとに、苦手分野を洗い出し、重点的に学習するようサポートすることができます。
さらに、過去の生徒の成績データと照らし合わせることで、今後どのような成長曲線を描いていけそうかなども予測を立てることができるでしょう。
金融業界の場合
金融業界では、適切な商品提供をするためにデータマイニングが利用されています。
例えば、数多くの金融商品から、顧客のニーズに適したものを紹介するための情報分析に活用されます。
また、保険など数多くの選択肢がある商品について、顧客の情報からどれが最も適しているのかを分析するためにも利用されます。
また、金融業界に関わりが深い“審査”においても、データマイニングが利用されることがあります。
住宅ローンやカーローンなど各種貸付の審査において、データマイニングを利用した高速化が進んでいます。
情報を素早く分析して、支払い能力の有無などをチェックします。
金融機関が保有する今までの実績などを踏まえて、高速な審査を実現しています。
医療業界の場合
医療業界では、病名の診断にデータマイニングが利用されています。
一般的に医師が病名を診断しますが、これだけでは人間の判断ですので、ミスが起こる可能性があります。
そのような状況を可能な限り回避し多角的に診断をするために、患者のデータから統計的に「どのような病気の可能性があるか」を分析できるような環境が作られています。
また、症状に対して適切な医薬品を見つけ出すためにも、データマイニングが利用されています。
製薬会社などが実際に投薬した情報を集め、薬の効果を確認することや副作用の発現を調査することなどを行っています。
その調査結果をデータマイニングして、どの医薬品をどのような患者に投与するのが良いのかを導き出します。
製造業界の場合
製造業界では、マーケティングではなく、製造機器の管理にデータマイニングが利用されることが多いです。
例えば、機器のメンテナンスタイミングを把握したり、不良品の発生数から機器の故障を察知したりします。
基本的に、機器は一定のタイミングでメンテナンスをする計画となっています。
しかし、突発的に故障や何かしら問題が起こる可能性があります。
そのような状況をいち早く察知するために、データマイニングの情報を使うのです。
また、機械が故障するタイミングなどの情報を集めれば、その製品の課題が見えてきます。
機器を利用する側が機器の状況を把握するためにデータマイニングを利用するケースが多いですが、機器を製造する側もデータマイニングの活用によって、より良い機器の開発が可能です。
小売り業界の場合
小売り業界では、例えば販売や顧客のデータを分析することに活用できます。
それを、商品の仕入れの量や、売り出し方に転用していき、ビジネスの拡大に活用していきます。
データマイニングの分析対象は大量にあります。
一つは、天候です。
天候によって、客足が変わり、顧客の心情も変わります。
雨の日は何が売れやすいのか、晴れの日は何が売れにくいのかなどを分析することで、仕入れや売り上げの予測に役立てることができます。
さらに、販売時には、何をPRするかによって、ユーザーへのエンゲージメントが異なります。
販売アプリにおける通知やキャッチコピーがどのように書かれているかによって、エンゲージメントを分け、効果的な手法を分析・提案することができるでしょう。
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データマイニングの分析手法
データマイニングの分析手法は大きく分けて3つあります。
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です。
それぞれ説明します。
1. ツールの使用
基本的にデータマイニングツールを利用して行います。
専用のツールが数多く開発されています。
適切な製品を選択して利用するようにしましょう。
ユーザーインターフェースなども使いやすいように開発されていますので、特別な理由がなければ専用ツールの利用がおすすめです。
ツールを利用してデータマイニングをすれば、専門的な知識が少なくても対応できる場合があります。
例えば、本来は複雑な知識が求められるような処理でも、画面の指示に従って操作すれば簡単に結果を得られることができます。
データマイニングのプロでなくても利用できるのが、専用ツールの魅力です。
ツールを比較する際のポイントの例
ツールを比較する際には「対応している目的」「対応している分析データ」に注目しましょう。
例えば、マーケティングを目的にデータマイニングツールを利用するならば、これに対応しているツールを選択しなければなりません。
また、分析したいデータ量が何百万件もあるならば、多くのデータを処理できるツールを選択しなければなりません。
また、機能面以外に使いやすさも重要です。
担当者が操作しやすいユーザーインターフェースでなければ、ツールを導入しても利用が定着しなくなってしまいます。
2. ソフトの使用
データマイニングツールとしてパッケージになっているものではなく、分析機能だけを抽出したソフトもあります。
このようなソフトを利用し、データマイニングする方法です。
ただし、データマイニングツールと比較すると、含まれている機能の種類が限られていて実現できることには限界があります。
「データマイニングツールは機能が多すぎる」という場合は良いかもしれませんが、基本的にはツールを利用した方が良いでしょう。
3. Pythonの活用
データマイニングには、プログラミング言語のPythonが利用される場合があります。
Pythonはデータ分析などに強い言語で、AIなどにも利用されています。
多岐にわたる分析ができるようになりますが、非常に高いスキルが求められます。
Pythonを扱えるならば差し支えないですが、そうでなければ、この方法を選択するのは難しいかもしれません。
エンジニアとしてPythonを使ったデータマイニングができるのであれば、ハイスキルな人材として市場価値が高いです。
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データマイニングの課題やよくある失敗
データマイニングを活用することで、新しい価値を創造できたり、売り上げの増加に繋がったりする可能性があるため、活用するメリットは多いでしょう。
しかし、データマイニングの活用にあたっては、コスト面以外にもさまざまな懸念が有ります。
これらの懸念を払拭するためには、社内的にデータ活用の有用性を示すこと、本当にスキルのある人材になる・スキルのある人材がプロジェクトに関わることが重要になります。
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DX人材としての活躍を目指すなら
データマイニングはDXの時代において注目されている技術です。
現在は、データ分析などを利用しての業務効率化がトレンドになっており、データマイニングの需要はこれからさらに高まるでしょう。
DXの世界で活躍したいのであれば、データマイニングを始め、需要の高いスキルを身に付けて実践していくことが重要です。
もし、データマイニングに関して豊富な経験と十分な知識を得ることができたならば、フリーランスとして働くことも可能です。
フリーランスとしての活動する際にはIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービスの「HiPro Tech」がおすすめです。
多数の案件を紹介しており、DXに関する案件も数多く取り扱っています。
データマイニングやデータ分析、AIなどに関する案件も扱っており、希望する条件や経験に合わせた案件を獲得できる可能性を高めることができます。
また、月額単価80~90万以上の案件や3ヶ月以上の長期契約が可能な案件を数多く保有しています。
登録やサービス利用は無料ですので、まずは登録して案件をご覧ください。
また、DX人材へのご相談や依頼をご検討の企業は、以下より当サービスについてご覧いただけます。
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記事監修
2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。