客先常駐のメリット・デメリット!働き方は楽しい?フリーランスなどのキャリアパスも
エンジニアとして働いている人の中には、客先常駐という働き方をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
客先常駐は、IT業界特有の働き方と言われることがあります。
そのため、客先常駐で働いている人や、これから客先常駐という働き方を検討している人は、この働き方でキャリアアップに繋がるのかと不安になってしまう場合も多いです。
客先常駐には不安を抱く人もいますが、キャリアを積んで独立するためには良い環境であることも多いです。
今回は、IT業界特有の客先常駐という働き方について、具体的な業務内容やメリット・デメリットを解説します。
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客先常駐とは何か?
まずは、客先常駐について、一体どのような働き方なのか簡単に紹介します。
客先常駐という働き方
客先常駐とは、自分が所属している企業ではなく、クライアント企業で業務を実施するという働き方のことであり、特にシステム開発に関わるエンジニアに多いです。
クライアント企業ではありますが、常駐するため、毎日企業内に出入りできるような体制(入室用カード持っている等)であることは多いです。
昨今のエンジニアの働き方の傾向
IT業界では、エンジニアの不足から派遣契約やSESという形で外部の企業からエンジニアを活用する企業が増えています。
これがIT業界で客先常駐という働き方が多い理由です。
客先常駐という働き方は、IT業界においてエンジニアの人手不足を解消するという役割を担っている側面があります。
リモートワークが浸透してきていますが、IT業界においてはシステムトラブルが起こってしまうことも多く、障害があった際にすぐ対応できるよう、客先常駐という働き方で客先の企業に出向いているエンジニアも多いです。
新型コロナウイルスを経ての傾向
新型コロナウイルスにより、リモートワークを推奨する企業が増えましたが、IT業界においてもその傾向は顕著です。
厚生労働省が実施した「IT業界の働き方に関する経年変化と新型コロナウイルスの影響調査」によると、緊急事態宣言中は、客先常駐で働く人は大きく減っています。
緊急事態宣言が明けてからも客先常駐で働く人は減っているようです。
※参考:厚生労働省「IT 業界の働き方に関する経年変化と新型コロナウイルスの影響調査」
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客先常駐エンジニアとして働くメリット
客先常駐は、他業界ではあまり見られない働き方ですが、一体どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
実際にエンジニアとして働く場合のメリットを紹介します。
クライアント企業と連携がとりやすい
クライアント企業と連携が取りやすく、仕事を進めやすいのが客先常駐のメリットです。
常駐していない場合、クライアント企業とやりとりをしようと思ったら、メールや電話、もしくはオフィスに訪問するといった形を取る必要があります。
そのため、コミュニケーションコストがかかってしまいます。
一方で、客先常駐をしていれば、すぐに常駐先の社員とコミュニケーションが取れるため、円滑に業務を遂行することが可能になります。
急なシステムトラブル時でも即座にコミュニケーションをとれるので安心です。
また、クライアントとスムーズな連携を取るため、コミュニケーション能力が鍛えられるというメリットもあります。
さまざまな業界での経験やスキルを積める
客先常駐の最も大きなメリットは、さまざまな業界・環境で経験やスキルが積めることです。
客先常駐という働き方の場合、何年も一つの企業に常駐し続けることは少ないです。
一般的に、一つのクライアント先に常駐するのは、数ヶ月〜一年程度が一般的です。
このため、数ヶ月単位でプロジェクトや常駐先企業が変わるため、複数の案件に携わることができます。
業界も特定の業界とは限らず、関わる分野も毎回同じではないため、幅広いスキルを身に付けることができます。
また、さまざまな企業のビジネスモデルなどを学ぶことができ、エンジニアリングスキルだけでなく、ビジネススキルを身に付けることにも役立ちます。
独立をしてキャリアアップが狙える
客先常駐を続けてスキルを身に付けた後、フリーランスとして独立しやすいのも客先常駐のメリットです。
なぜなら、フリーランスと、客先常駐の働き方は、非常によく似ているためです。
フリーランスとして働く場合も、企業ごとに案件を獲得し、それぞれの企業の要望や課題に合わせた業務を遂行していきます。
客先常駐で、広い範囲の実務スキルを身に付け、さらにさまざまな企業のビジネスモデルについての知識得れば、幅広い業界でフリーランスエンジニアとして活躍しやすくなります。
人脈が広がる
複数のクライアント企業で働くことで、多くの人脈を作ることができます。
客先常駐で数年実績を積んだあと、フリーランスとして独立する際にも、そうした人脈を頼りに、案件を獲得することが可能になります。
エンジニアが客先常駐で得た人脈を使って案件を獲得し独立するのはよくあるケースであるため、仕事に役立つ人脈が増えるといえるでしょう。
このような人脈を活かす場合は、クライアント側もすでにある程度自分の仕事振りなどに理解があるため、経験やスキル、希望にマッチした案件を獲得しやすいというメリットもあります。
未経験でも採用されやすい
客先常駐で働くエンジニアの多くは、所属企業などから派遣され働いているケースが多いです。
派遣元企業は、自社でエンジニアを育成し、スキルを身に付けてから客先に行ってもらうこということが多く、育成する体制が十分に整っていることが多いです。
このため、客先常駐で働くエンジニアであれば、未経験でも採用されやすい傾向があります。
残業が少ない
客先常駐で働くエンジニアの多くが、所属企業から派遣されているエンジニアということは既に述べた通りです。
クライアント企業と所属企業の契約内容によって変わりますが、クライアント企業はエンジニアが働いた時間に対して報酬を支払っているというケースがあります。
その場合は、残業が生じる分、クライアント企業としても支払う金額が多くなってしまうという事情があります。
一般的に、クライアント企業は契約する際にはある程度の予算を組んで行います。
時間を重ねるごとに追加費用がかかってしまうという契約を結んでいる場合、残業時間をできる限り減らせるよう業務を調整するという企業もあります。
そのため結果的に、残業が少ない現場で働くことができるというメリットにも繋がるでしょう。
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客先常駐エンジニアとして働くデメリット
一方で、客先常駐というIT業界特有の働き方には、デメリットも存在します。
常に客先という疎外感を抱いてしまう可能性がある環境で仕事をする
客先常駐は、業務上はクライアントの社員と同様の働き方ではあるものの、「クライアント」と「サービスの提供者」という関係性であることに変わりはありません。
客先常駐という働き方は、その企業に所属する社員と比較すると疎外感を抱きやすい可能性があります。
クライアント企業に対しての帰属意識も抱きにくく、プロパー社員と比較すると自分のモチベーションに課題を感じてしまうこともあるでしょう。
ただし、自ら積極的にコミュケーションを常駐先の社員を取りにいくことで、改善を図ることができる場合があります。
働き方には適性もあるため、この環境が良いと感じる人も、悪いと捉えてしまう人もいるでしょう。
自分の仕事が自社社員に伝わりづらい
客先常駐では、業務を遂行するのはクライアント企業のオフィスですが、実際に仕事を評価するのは自社の上司です。
つまり、評価される上司にどのような仕事を行っているのか、詳細まで伝わり切っていない状態で、評価されるリスクがあります。
そのため、自分の出した成果が、思ったように評価されないことがあります。
客先に干渉できないためマネジメントスキルが身に付きにくい
客先常駐と自社で働くことの最大の違いは、権限があるかどうかです。
IT関連の企業では、情報管理が徹底していることが多く、正社員しか扱えない情報も多いです。
そのため、客先常駐の状態では、いくらエンジニアとしてのスキルが高く、プロジェクト遂行能力に長けていたとしても、機密性の高い仕事が任されにくいという点です。
また、プロジェクト全体を統括するような仕事は、常駐先の社員が担当することが多いため、このような経験が積みにくい可能性もあります。
一方で、高いスキルを保有していれば、前述のような仕事を任せてもらえる機会はあります。
まずは客先常駐で身に付くスキルを徹底的に伸ばすという意識で仕事に臨むとよいでしょう。
常駐先の社員と比較すると給与が低い傾向がある
客先常駐の場合、給与が支払われるまでの流れは、クライアント企業→自社→社員となります。
つまり、クライアント企業の支払った対価が、自分に届くまでに自社を挟む形になります。
一方で、クライアント企業の正社員の場合、給与が支払われるまでの流れは、クライアント企業→社員です。
そのため、たとえ仕事内容が同様であっても、クライアント先の社員と比較すると、客先常駐の方が、給与が少なくなる傾向にあります。
その分、クライアント先の社員とは違うやりがいを見つけ、スキルの向上を図るのが良いでしょう。
自社に対する帰属意識が低下する可能性がある
客先常駐の場合、自社で仕事をすることはほとんどなく、数ヶ月単位でクライアント企業を転々とします。
そのため、自社に対しても、クライアント企業に対しても帰属意識が湧きにくいです。
自分の仕事を通じて、自社が社会にどのようなインパクトを残しているのかイメージが湧きにくく、仕事に対するモチベーションを保ちにくいということがあります。
自社の社員とも積極的にコミュニケーションを取ると良いでしょう。
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客先常駐は楽しい?つらい?
客先常駐という働き方にはメリットも多いですが、ポジティブに捉える意見とネガティブに捉える意見の両方があります。
「楽しい」と捉える人の意見や具体的なケース
大企業で働くことができる
派遣されるプロジェクトは様々あるため、正社員で採用されるには難しいような大企業のプロジェクトにアサインされる可能性があります。
人間関係がすぐリセットされる
長年同じ企業で働くと人間関係のしがらみも複雑化する場合があります。
客先常駐で働くことがあれば、数ヶ月~数年程度で異動になることが多いです。
そのため、人間関係で何か問題を抱えてしまったとしても、リセットしやすいメリットがあります。
様々な案件に携わることができる
客先常駐の場合、常駐するクライアントによって業界や担当する仕事内容は変わります。
そのため、常駐先が変わる度に、新しい仕事に挑戦することができます。
さまざまな仕事に挑戦することで、自分のスキルや経験が広がるため、楽しいと感じるケースです。
また、長期間に同じ案件だと飽きてしまうという人によっても、定期的に案件が変わるため常に新鮮さを保ちながら仕事ができるというメリットもあるでしょう。
「つらい」と感じる人の意見や具体的なケース
上流工程に携われない
上流工程をプロパー社員が行い、客先常駐で働いている外部の人材は下流工程でしか携わることができないことがあり、それを辛いと感じることがあるようです。
スキルアップしたい人にとっては、同じ工程を担当し続けることになり辛いと感じることがあるでしょう。
常駐先を自分では選べない
どのようなプロジェクトにアサインされるかは、自分で決めることは難しく、所属企業が決めるケースが多いです。
このため、自分の好きなように案件を選べないこともストレスになりやすいです。
環境を選べない
常駐先を選べないのと同様に、職場環境も選ぶことができません。
例えば、情報漏洩に厳しい企業は、客先常駐エンジニアという外部の人材についてはセキュリティ対策を強めます。
スマートフォンの持ち込み不可という規則がある、性能の古いパソコンを渡されるなども想定できます。
そのため、自分の働き方に合わない常駐先にアサインされると辛いと感じる人が出てしまいます。
( 関連記事:SESとは?業務内容や働き方、契約形態!働くメリット・デメリット )
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客先常駐からのキャリアアップ
客先常駐は、多様な企業で働くことができ、幅広い経験を積むことができるというメリットがあります。
一方で、マネジメントスキルが身に付きにくいという点では、デメリットもあります。
そのため、客先常駐というはたらき方をゴールにするのではなく、客先常駐をうまく活用してキャリアアップを図るのが効果的です。
キャリアアップの流れ
キャリアアップの流れとしては、以下の通りです。
基礎的な業務スキルをしっかりと身に付ける
キャリアアップを図る上で、基礎的なエンジニアリングの知識が抜け漏れなく身に付いていることは大前提必要となります。
日々の仕事から得られる知識だけでなく、自宅学習も交えつつエンジニアとしての知識をつけることが大切です。
客先常駐で成果を出し、大型案件にアサインされる
アサインされたプロジェクトでしっかりと成果を残すことができれば、より大手のクライアント企業のプロジェクトや難易度の高いプロジェクトにアサインされる可能性が高まります。
こうしたプロセスを繰り返し、より高度なスキルを身に付けるとともに、人脈を広げていくことも大切です。
フリーランスとして独立する
複数のプロジェクトを経験し、人脈とスキルを十分に身に付けた段階で、フリーランスとして独立というスキルアップ方法もあります。
客先常駐で培った人脈を元に案件を獲得できるようになれば、クライアント企業と直接契約を結ぶことや難易度の高いプロジェクトに入ることもできるため、会社員時代よりも報酬を上げることが見込めます。
フリーランスになれば、自分で案件を選びやすくなるため、客先常駐で働くような「案件を選べない」「指示された環境でしか働けない」「上流には携われない」といった不満を解消できる可能性があります。
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まとめ
客先常駐は、自分の描くキャリアに沿ったような経験を積むことで、幅広い人脈や、多様な業界への理解、高度なスキルを身に付けることが可能です。
その後、独立してフリーランスになれば、これまで培ってきた人脈を活用して高単価の案件を獲得することも夢ではありません。
一方で、人脈だけでは案件獲得のルートとして限界があるのも事実です。
人脈を広げるのと並行して、さまざまな企業の案件を扱うエージェントやサイトにも登録しておくと良いでしょう。
当社の運営する「HiPro Tech」というフリーランスITエンジニア専門のエージェントサービスであれば、月額報酬が80万円以上の高待遇な案件や、スキル向上に繋がる案件を多数保有しているため、希望条件や目指すキャリアに沿った案件の紹介を受けることが可能です。
フリーランスエンジニアとして独立を考えている人は、ぜひ登録してみてはいかがでしょうか。
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記事監修
2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。