データサイエンティストの将来性は?後悔しないために知っておくべきことは?
データサイエンティストは、データ分析やその結果に基づいてビジネス課題を分析し、レポーティングするのが主な業務です。
ビッグデータの利活用やR&D(研究開発)の領域で高い需要がある一方で、将来性が不安と言う声や、やめとけという話も一部で上がっています。
そこで今回は、データサイエンティストはやめとけと言われる理由や、その将来性を詳しく紹介します。
また、企業から求められる需要の高いデータサイエンティストになるためのポイントまでご紹介します。
ぜひ最後までご一読ください。
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データサイエンティストがやめとけと言われてしまう理由
データサイエンティストがやめとけと言われる代表的な理由は、以下の3つです。
・AI技術に代替される
・データサイエンティストが飽和状態になる
・業務が細分化される
AI技術に代替される
まず一つ目の理由が、データサイエンティストの仕事の一部はAI技術に代替されるといわれているということです。
しかし、厳密には、データサイエンスの領域とAIの領域はバッティングしない部分が多いです。
AIが判別できるデータの量やアウトプットの質は年々進化していっているものの、統計や数学などの専門的な知識を用いて、データをビジネスに利活用する領域においては、データサイエンティストだからこその活躍ポイントで、AIには真似が難しい分野です。
2019年に提示された総務省のデータによると、「どのデータを使うか、どの領域で価値を生み出せるのか、その仕組みをどういった方法でデザインするのか」などの人にしかできない仕事を、どう磨くのかが重要視されると予測されています。
データサイエンティストが飽和状態になる
次に挙げられるのが、データサイエンティストが増え続けるために、飽和状態になるという見方です。
データサイエンスの教育の機会が増えているためにそう考えられているのでしょう。
もし仮に、飽和状態となれば、企業からの需要に対して、人材が余るという結果になるため、他の技術者と差別化し、どのように貢献できるのかを明確化しなければなりません。
現状を踏まえるとデータサイエンティストが、すぐに飽和状態になるとは言えませんが、こうした背景から、データサイエンティストとして今後も活躍を続けるには他の技術者と差別化を図るなどの考え方が必要です。
業務が細分化される
2022年現在において、需要が高まるデータサイエンティストであっても、業務が細分化されることで、将来的に今のような仕事がなくなってしまうといった懸念もやめとけと言われる理由の一つです。
ビッグデータの利活用が着目されるようになってきたのは最近のことです。
また、データサイエンティストという職業が歴史的にまだ浅いこともあり、これまでは、業務の幅や内容・責任範囲が明確になっていないまま仕事をしているといったケースが多々ありました。
しかし、データサイエンスに携わる人が増えてきたり、価値が高まってきたりするなどしてノウハウや知見が蓄積されたことで、効率化を図るために業務が細分化されてきています。
データサイエンティストという肩書を持つけれども、実際には、データの整理のみを行っている、というケースもあるかもしれません。
企業やプロジェクトによって、さまざまな形での関わり方が想定できますが、業務が細分化されることで、また新たな職種が確立される可能性があります。
その場合、本来思い描いていたデータサイエンティストとは異なる仕事をするということが起こりえるため、懸念されている側面があります。
データサイエンティストの業務内容について詳しく知りたい方は「データサイエンティストとは?仕事内容や年収・資格について」をご覧ください。
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データサイエンティストの将来性
では、やめとけと言われることがあるデータサイエンティストは、将来性が低いのでしょうか。
ここからは、データサイエンティストの将来性を、より詳しく説明していきます。
データサイエンティストの需要が増加している
データサイエンティストの需要は年々、増加傾向にあるため、将来性は高いと考えられます。
例えば、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の資料では、データサイエンティストの発展と活躍に触れられており、ICT産業に限らず各業種でビッグデータの実用化が徐々に浸透しつつあるとされています。
また、データマイニングや機械学習などの経緯を同様にたどると、ディープラーニングが過去のものになったとしても、こうした多くの業種でのビッグデータ利活用やR&D(研究開発)の領域では需要が高まると言われています。
データサイエンティストという業務が無くなったとしても、これまで培ったその技術やスキルで、専門的な業務をこなしていく将来は十分に考えられます。
※参考:独立行政法人 情報処理推進機構 データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説
データサイエンス教育が増加している
また、データサイエンティストの価値が高まっていることを受け、データサイエンス教育の機会が増加しているのも将来性が高いと言える一つの要素です。
日本国内では、データサイエンス教育が拡充され始めており、徐々にその認知度や学習環境も広まりつつあります。
こうした教育の広まりは、データサイエンティストの曖昧な業務の定義をより細分化し、「何を目指せばよいのか」「自らの技術はどの程度などなのか」を判断できる基準となります。
データサイエンス教育が今後も広まりを見せると、データサイエンティストを目指す人材が増えたり、働く若手のリテラシーが高まったりするメリットもあります。
国がデータサイエンス教育を促進している
さらに、データサイエンティストの教育は、国(政府)においても促進している領域です。
国内ではビッグデータの活用によって新たな価値の創造といった領域で、需要が増え続けています。
そうした中、文部科学省では「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートして教育の促進を図っています。
先述したように、一部の大学(横浜市立大学・一橋大学など)ではデータサイエンス学部といった創設も広がっていることもこうした動きに鑑みてのことでしょう。
こうしたデータサイエンス教育の促進によって、さらに高い技術を持ったデータサイエンティストが将来的に求められることは、その将来性の高さを検討する十分な要素といえます。
※参考:文部科学省 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)ページ
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必要とされるデータサイエンティストになるためのポイント
データサイエンティストとして需要を保ち続けるには、スキルアップが重要です。
ここでは、必要とされるデータサイエンティストになるためのスキルアップ方法を、以下に分けて紹介します。
・国内外の論文を読む
・資格を取得する
・高いビジネス力を身につける
・SNSやブログを活用する
国内外の論文を読む
スキルアップを狙うなら国内外の論文を読むことはおすすめです。
特に、海外の論文は、複雑な理論や一定の仮説によって試された研究結果が日本のものより詳細に記述されていることが多く、従来のデータサイエンス教育だけでは得られない情報を集められます。
また、国内外の論文での仮説検証は事例に触れる機会を増やし、自らに求められる環境への対応力を高めることにも役立つはずでしょう。
資格を取得する
データサイエンティストのスキル・技術を証明するために、資格を取得するのも一つの方法です。
例えば、以下の資格はデータサイエンティストの学びに役立ち、今後の業務に必要となる技術を身につけられます。(2022年12月時点情報)
※統計検定(R)は一般財団法人統計質保証推進協会の登録商標です。
本記事の内容について、一般財団法人統計質保証推進協会は関与していません。
これらの資格は、データサイエンティストに求められるビジネス・データサイエンス・エンジニアリングなどのスキル・技術を証明できます。
どのような勉強を続ければ良いのか迷ったときにも、資格の取得は道標となるでしょう。
高いビジネス力を身につける
データサイエンティストとしてスキルアップする際には、ビジネスそのものにも積極的にかかわる必要があります。
データサイエンティストというのは、データを使って事業やサービスなどのビジネス課題を解決する存在です。
クライアントや関係者とのコミュニケーションによって、課題をヒアリングし、それを解決するための目的設定から実際に稼働まで担う人材だとも言えるでしょう。
ビジネス力を高めるためには、データ解析結果から課題の解決方法まで説明し、各所での調整まで経験する必要があります。
データだけと向き合うのではなく、コミュニケーション力・説明力が求められるので、ビジネスに積極的に関ることで現場経験を積み、さらに技術を磨いていくことも必要です。
SNSやブログを活用する
データサイエンティストのスキルアップは、インプットだけではなく、SNSやブログを活用したアウトプットも有効的な方法です。
複雑な内容を自らが理解しているだけではクライアントや関係者へ説明できないケースがあり、SNSやブログを活用することで、具体的に言語化して伝える練習として使えるからです。
論文や学会、書籍や資格取得で学んだものは、実務と照らし合わせながら整理して積極的に発信するとよいでしょう。
また、データサイエンティストが用いる情報発信の媒体には、このほかにもGitHubといった専門の領域を取り扱うサービスもあります。
アイデアを残すこともできるので、個人の技術を証明する一つのアウトプット先としてSNSやブログ等を活用すると良いでしょう。
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データサイエンティストの活躍の場
最後に、データサイエンティストの代表的な活躍の場を、以下の5つ紹介します。
・IT業界
・金融業界
・製造業界
・不動産業界
・シンクタンクやリサーチ業界
IT業界
データサイエンティストが活躍できる場の代表例は、IT業界でしょう。
IT業界では、システム開発・業務効率化・自動化などに必要な基盤の開発を担い、時代や時間によって移り変わるトレンドへ柔軟に対応します。
また、AIやビッグデータの開発案件にも触れられますから、精度の高いシステムの設計にも役立てられます。
金融業界
データサイエンティストは、作業改善や顧客に届けるサービスの向上のために、金融業界でも活躍できます。
金融業界は、ローンや融資の審査・カードの不正検知といったデータを利活用した業務を効率化したいというニーズがあります。
例えば、AIやビッグデータを活用した高度なセキュリティに加えて、生体認証技術および窓口業務の効率化において、データサイエンティストとして活躍できるでしょう。
製造業界
製造業界も、データサイエンティストが持つスキル・技術を使った最先端テクノロジーの活用が広まりを見せていますから、活躍の場として挙げられます。
データ管理の基盤作りから、生産ロボットの効率的な管理において、データサイエンティストは非常に重要な役割を担います。
本来は人間が行っていた細かい職人の判断を、定性的なデータにするためには高い技術や知識が必要ですから、データサイエンティストとしてこれまでの知見や技術を活かして働けるでしょう。
不動産業界
不動産業界では、住宅の価値や金融機関と連携したデータを取り扱う場で、データサイエンティストとして活躍できます。
分析データに基づいた情報発信に、費用対効果の高い立地条件、顧客満足度を高めるアプローチ(入居率の向上等)などは、高度なAIの判定術が必要です。
現在抱えている課題はどんなことで、その解決はどのように行うべきかなどの提案力が必要となりますが、データサイエンティストが活躍できる場の一つです。
シンクタンクやリサーチ業界
データサイエンティストはシンクタンク(政治・経済・科学技術の調査研究機関)やリサーチ業界でも、重要な役割を担うポジションですから、活躍の場として挙げられるでしょう。
例えば、クライアントからデータ分析の業務を委託され、代行してその結果を提示するといったことに携わります。
依頼内容により分析する対象が変わりますから、データサイエンティストとしては柔軟な対応を求められるものの、役立つというやりがいを感じられる業界です。
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データサイエンティストは、その需要が懸念される場合もありますが、今後も以下の理由で将来性がある仕事と考えられます。
・データサイエンティストの需要が増加している
・データサイエンス教育の機会が増加している
・国がデータサイエンス教育を促進している
・ビッグデータが拡大している
スキルや専門性が高いデータサイエンティストであれば、フリーランスとして活用することも可能です。
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記事監修
2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。