確定申告の期間を過ぎたらどうなる?ペナルティや遅れてしまった場合にするべきことを解説
確定申告とは、自営業やフリーランス、会社員で働きながらも給与以外で一定額以上の所得を得ている人が、所得に対する税金を確定するために行う手続きです。確定申告は納税の義務の一部であり、該当する人は、必ず行わなければなりません。
確定申告を故意に行わない、もしくは期日に間に合わない場合は、ペナルティが科せられることもあります。今回は、確定申告の期間を過ぎてしまった場合のペナルティ、対処方法などを詳しく解説していきます。
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2021年確定申告の期間は?
例年、確定申告は前年の1月1日~12月31日までに得た所得を2月16日~3月15日(土日に当たる場合はその翌日)までの間にお住まいの自治体にある税務署へ申告します。
しかし、2020年初頭より始まったコロナ禍により、2021年の確定申告の期日は2月16日~4月15日までとなり、1ヵ月間延長されました。
所得税(及び復興特別所得税)の口座振替日は、2021年5月31日、個人事業者の消費税の口座振替日は、2021年5月24日となっています。
確定申告の方法は、専用の用紙に記入して税務署に直接提出する方法や郵送などがあります。e-taxという電子申告・納税システムとマイナンバーカードがあれば、オンライン申請も可能です。
専用の用紙は国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署や市役所などへ取りにいきましょう。なお、自治体によっては、2月16日より前に、確定申告の相談会を行っています。
分からないことがある場合、そこで税理士に尋ねるのも良いでしょう。また、確定申告の期間中、税務署では質問の受付や記入の方法の相談に乗ってくれます。
ただし、どこの税務署も混み合うため、時間に余裕を持っていきましょう。なお、国税庁のホームページなどからでも質問が可能です。
2020年からは、コロナウイルス感染予防のために説明会を行わない税務署も増えました。そのため、確定申告のやり方が分からないという場合、事前に相談場所を見つけておくことが重要です。
商工会議所やフリーランスの互助会などもオンライン相談を行っています。また、資金に余裕がある場合は、税理士に作成をお願いしても良いでしょう。
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確定申告の期間を過ぎたらどうなる?
確定申告の期間は、延長されることはありますが決して無期限ではありません。では、提出期限をすぎてしまったらどうなるのでしょうか?ここでは、申告や税の納付が遅れた場合のペナルティや対処方法を紹介します。
無申告課税
確定申告は、期限が過ぎても基本的に受理してもらえます。2021年の場合は、4月15日までに申告しなかった場合、期限後申告として扱われ無申告加算税および、延滞税が課せられる可能性があるため、注意が必要です。
無申告加算税というのは、期限内に申告をしなかったことにより課せられ、条件によって税率が異なります。一例を挙げると以下の通りです。
- 原則:50万円までは15%、50万円を超える部分は20%
- 税務署の調査通知を受ける前に自主的に期限後申告した場合の税率:5%
税務署の調査通知とは、税務署から電話がかかってきて「このようなことで、調査を行います」と告げられることです。調査は確定申告や決算時期などを避けて、秋頃行われることが多いです。
つまり、やむをえない事情があって、数日納期が送れても厳罰があるわけではありません。しかし、「1回くらい忘れてもいいや」という気持ちで放っておくと税率がどんどん上がっていきます。
しかも、納める税が多いほど税金も高くなります。なお、税金を納めずに還付金が返ってくる場合、還付金から延滞税を引かれてしまいます。
ただし、提出期限を過ぎていても
- 期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること
- 期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること
- 期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと
上記のような条件を満たしていれば、無申告課税は課せられません。
そのため「ついうっかり期限を過ぎてしまった」という場合、できるだけ早く税務署へ申告しましょう。
なお、青色申告で確定申告を行っている場合、期限を過ぎると65万円の控除が10万円まで下がります。さらに、2事業年度連続で期限内に確定申告書を提出しなかった場合、青色申告の承認が取り消されてしまいます。
延滞税
延滞税とは、納税が遅れたことに対して課されるものです。2021年の場合、前述したように申告所得税の口座振替は、2021年5月31日、個人事業者の消費税の口座振替日は、2021年5月24日です。
延滞税がかかるのは、例えば以下のような場合です。
- 確定申告はしたが、口座振替日に残高不足で税金が引き落とせなかった
- 確定申告をしなかった結果、納税額が分からないため、納税をしなかった
期間内に確定申告を行い、口座振替日までに税金を支払わなかった場合、課せられるのは延滞税だけです。しかし、確定申告を行わなかったために納税額が分からずに納税をしなかった場合、無申告課税と延滞税の両方が課せられます。
延滞税は、延滞税遅れた日数分だけ加算され、最高税率は年14.6%と大変高くなっています。延滞税の計算方法は国税庁のホームページに載っているため、参考にしてください。
※参考:国税庁「延滞税について」ページ
遅れた場合、期限後申告をする
もし、確定申告の期限内にどうしても提出が間に合わない場合、可能な限り早く期限後申告をしましょう。早く期限後申告をするほど、ペナルティは軽くなります。
なお、郵送の場合は通信日付印(消印)に表示されている日が提出日としてみなされます。たとえば、2021年の期限を例に取ると4月15日の通信日付印(消印)が押されていれば期日内に提出したことになります。
納税が難しい方は、猶予制度を利用する
確定申告をして納税額が決まっても、期限までに納税をすることが難しい人もいるでしょう。この場合、国税の猶予制度が利用できます。
国税の猶予制度は、以下のような時に受けることが可能です。
- 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持が困難になる恐れがあると認められた場合
- 納税について誠実な意思を有すると認められた場合
- 猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない場合
- 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されている場合
なお、猶予期間は原則として1年間です。さらに、猶予が認められると、猶予期間中の延滞税が軽減され、年8.8%から 年1.0%となります。
このほか、財産の差押え売却が猶予されます。猶予制度を利用したい場合、住んでいる自治体の国税局猶予相談センターに相談してください。国税庁のホームページから検索できます。
※参考:国税庁「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」ページ
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確定申告が必要な方
もしかすると、自分は確定申告が必要ではないと思っており対応していなかった、という人もいるかもしれません。
では、確定申告はどのような方が行う必要があるのでしょうか。代表例を紹介します。
給与所得がある人
会社に所属し、給与所得を得ている人は基本的に年末調整を行えば、確定申告の必要はありません。しかし、一例ですが以下の内容に該当する場合は確定申告が必要です。
(詳しくは国税局ホームページをご確認ください。)
- 給与所得の合計額が2千万円を超える場合
- 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、他の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える場合
- 給与を2か所以上から受けていて、その全てが源泉徴収されている場合で、年末調整をされなかった給与の収入金額と、他の所得金額の差額が20万円を越える場合
フリーランスエンジニアは、会社に所属しておらず、上記項目に当てはまる人が多いため、自身で確定申告を行う必要があります。
公的年金等に係る雑所得のみの人
公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある人は基本的に確定申告が必要です。ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その公的年金等が源泉徴収の対象になっている場合は、確定申告は必要ありません。
退職所得がある方
退職所得があり、かつ源泉徴収されていない人は確定申告が必要です。
その他
株式の売買、配当金、山林の譲渡などを含む各種所得の合計額から所得控除を差し引き、課税される所得金額に所得税の税率を乗じて計算した税額から配当控除額を差し引いた際、残額がある人は確定申告が必要です。
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還付申告をすることができる人とは?
還付申告とは、すでに収めた税金から過払い分を返してもらう申告のことです。ここでは、還付申告ができる例を紹介します。(詳しくは国税局ホームページをご確認ください。)
- 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
- 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
- マイホームに特定の改修工事をしたとき
- 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
- 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
- 特定支出控除の適用を受けるとき
- 多額の医療費を支出したとき
- 特定の寄附をしたとき
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき
※参考:国税庁「還付申告」ページ
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まとめ
今回は、確定申告が必要な方や、期間内に提出できなかった場合などのペナルティについて解説しました。会社に所属せずフリーランスのITエンジニアとして働く場合は、確定申告が必須です。
このようにフリーランスとして働く人は、確定申告を含めて自身で対応しなければならないことが多くあります。そのため、フリーランスになったばかりで不安だという人も多くいるでしょう。
そのような場合は、フリーランス専門のエージェント会社に登録することをおすすめします。エージェントは、フリーランスには必須となる営業を代行し、希望する案件の獲得を手助けします。
また、その他にも案件獲得に向けて、さまざまなサポートをしてくれます。「HiPro Tech」は、フリーランスITエンジニア専門エージェントです。
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記事監修
桐蔭学園小学校・中学校・高校、中央大学卒業後、近藤会計事務所入所。2014年、26歳で税理士登録。2016年、28歳で祖父が開業し、父が承継してきた同事務所を3代目として事業承継。
先代たちが『税理士たるもの納税者のために体を張って頑張りなさい。』という理念の下に約半世紀に渡り事務所を運営。その理念を根幹としつつ、『かゆいところまで手が届く存在に。』『自分にできることは出し惜しみしない。』というエッセンスを加えて税理士業務に日々取り組む。
関わる全ての方々に敬意を持って誠実に対応することを強みとし、クライアントは(JASDAQ)上場企業から中小企業、フリーランス(個人事業主)と多岐に渡る。
事務所URL:http://www.kondo-kaikei.net/