エンジニアの経費はどこまで計上できる?経費率や節税対策も紹介
フリーランスエンジニアにとって、経費は利益(所得)を左右する大事な要因です。
フリーランスエンジニアとして活動を始めたものの、経理知識があまりなく、確定申告などに不安を感じている人もいるのではないでしょうか。
今回は、フリーランスエンジニアとして知っておきたい経費についての基本的な知識や、節税のためのアイデアなどを紹介します。
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フリーランスエンジニアが注意したい経費の考え方
フリーランスエンジニアが経費計算や確定申告を行う場合、いくつか注意しておきたい点があります。
以下、項目別にポイントを見ていきましょう。
会計科目を正確に書く
会計科目は経費の内訳を知るために重要なポイントで、確定申告時にもチェックが入りやすいポイントです。
会計科目は統一する必要があり、記載内容にブレがあってはいけません。
例えば、移動や輸送のために車を使う場合、ガソリン代は車両費や旅費交通費などで計上するのが一般的です。
同じようにガソリン代を払ったときに、「車両費」「燃料費」「旅費交通費」など別科目で計上しないよう注意しなければいけません。
一方で、用途によって会計科目が変わる場合もあります。
例えば、フリーランスとして事業用のホームページを使う場合、レンタルサーバー代は広告宣伝費と考えられます。
しかし、レンタルサーバーをファイルの共有や受け渡しのために使用する場合は、通信費と考えられるでしょう。
厳密なルールはありませんが、事業や用途の実態に合わせて科目を統一することが大切です。
家事按分を適切に利用する
フリーランスエンジニアでは自宅兼事務所の場合も多いでしょう。
この場合、家賃や水道光熱費といった費用は、全額を経費として計上することはできません。
家事按分と言っても、利用実態にあった按分率で経費分を算出することが必要です。
按分率の計算は、例えば50平米の部屋に住んでおり、事業用に20平米を利用しているなら按分率は「20(平米)÷50(平米)×100= 40(%)」として計算します。
この場合、家賃が10万円なら、その40%の4万円が経費として計上可能です。
水道、光熱費などは業務での使用時間から按分率を計算する、車のガソリン代は走行距離から按分率を計算する、など利用実態に応じた計算方法になります。
構成比率や計算方法に厳密な決まりはないですが、確認された場合に納得のできる説明ができるようにしておきましょう。(2023年6月時点)
減価償却で適切に配分する
減価償却とは高額で長期使用ができる資産について、その費用を一定期間に渡って配分するという考え方です。
例えば、210万円で新車を購入した場合、6年間、毎年35万円ずつ費用として計算します。
減価償却は、基本的に取得価額が10万円以上で、1年以上使用できる資産が対象です。
車や設備機械だけでなく、ソフトウェアや特許権などの無形資産も減価償却の対象です。
減価償却は、個人事業主は原則毎年定額を計上する「定額法」によるものとされており、定められた比率から経費算入額を決める「定率法」に変更したい場合には、その変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出して、その承認を受ける必要があります。
期間中の変更はできません。
エンジニアが業務以外で経費にできるもの
フリーランスエンジニアの場合、業務で利用するパソコン代やソフトウェア代などは確実に経費にできますが、その他にも次の費用を経費計上できる場合があります。
家賃
専用のオフィスを構えている場合はもちろん、先述のように自宅兼事務所の場合でも、家賃を経費にすることが可能です。
家事按分をしっかり行って計上しておけば、税務上も問題なく経費として認められます。
水道、光熱費なども同様ですが、ほとんど客先に常駐して働く場合では、認められない可能性があります。
通信費
通信費は用途や内容によって家事按分の要/不要が分かれます。
普段利用している電話やインターネットなどの通信費は家事按分が必要です。
事業専用にしている場合は全額を経費として扱うことができます。
衣装代
スーツや衣装などは事業により、経費と認められる場合もあります。
営業用の宣材撮影を行うために散髪に行ったり衣装を買ったりした場合は経費にすることが可能です。
また、インフラ設置などの作業に従事するエンジニアで、安全や防寒の観点から作業用の衣類が必要な場合も経費として計上できます。
飲食代
フリーランスエンジニアは、接待や、打ち合わせのための会食などが発生することが想定できます。
このような飲食代は、経費にすることが可能です。
エンジニアにおすすめの節税対策
収入から経費を引いた額が最終的な所得となり、所得金額に応じて納税額や社会保険料が決定します。
さまざまな負担を軽減するためにも、可能な範囲で節税対策を行っておくと良いでしょう。
エンジニアにも取り組みやすい節税対策には、次のようなものがあります。
ふるさと納税
ふるさと納税は、寄付金額のうち2,000円を超える部分について、所得税および個人住民税からそれぞれ控除が受けられる制度です。
各自治体ならではの返礼品も貰えるため、人気の高い節税方法です。
ふるさと納税はその名称から納税と誤解されることがありますが、あくまで寄付であり、寄付金は所得から控除されるのです。
最終的な納税額から寄付金が減額されるわけではないため、注意が必要です。
※参考:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
青色申告
青色申告は、確定申告時に青色申告を行うことで、最高55万円(電子申告、若しくは、電子帳簿保存をする場合には65万円)の控除を受けられるというものです。
細かな仕分けや記帳、報告書類の作成が必要になるため手間がかかりますが、会計ソフトなどを利用すれば初心者でも対応できます。
青色申告は控除額も大きく、財務状況をクリアにすることで社会的信用も増すことがあります。
配偶者控除・扶養者控除
配偶者控除では、配偶者の所得が一定以下の場合に最大38万円の控除を受けられます。
配偶者がいない場合は使えませんが、配偶者がいて所得の条件を満たしていれば申告するだけで控除できるため、必ず確認したい項目です。
その他にも、家族の状況によっては扶養控除が適用できることもあります。
こちらは扶養家族の年齢や同居・別居といった状況により1人あたり38〜63万円の控除が可能です。
保険・年金
保険や年金の掛け金は社会保険料控除という形で控除の対象になります。
国民健康保険や国民年金などは全額が控除対象ですが、一般生命保険や介護保険、個人年金保険は金額に応じた一定割合の金額が控除対象なため、注意しましょう。
※参考:国税庁「No.1610 保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」
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エンジニアが経費にする際に気を付けること
税務署は、確定申告の内容から不正が疑われる場合に、内容の確認を行うことがあります。
場合によっては経費として計上していたものが認められず、追加納税が必要になることがあるため注意しましょう。
以下、経費に関して注意すべきポイントを確認していきましょう。
領収書を保管しておく
経費の証拠となる領収書やレシートは、必ず残して保管しておきましょう。
法律上、取引の証拠書類(証憑書類)は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しておくことになっています。
この書類は領収書ではなくレシートでも問題ないですが、レシートの中には日付や発行主体などの記載がないものもあり、その場合は証憑書類としては不適切です。
できるだけ領収書を貰い、宛名に名前や屋号を書いてもらいましょう。
タイムスタンプなどの要件を満たせば、領収書は電子データでの保管も可能です。
紙でもらった領収書をスキャンして保存することもできます。(2023年6月時点)
収益を記載する
税法上、経費を全て記載する義務はありませんが、売上などの収益については全て記載する必要があります。
故意に記載しない場合はもちろん、ミスによる記載の不備も税務調査時には罰則の対象になるため注意しましょう。
※参考:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
フリーランスは経費より案件獲得の問題が切実
フリーランスエンジニアの場合、一般的な事業と比べて経費は種類も多くはありません。
しっかり基本を理解し、会計ソフトなどを利用すれば、経理業務もそれほど難しくはないでしょう。
フリーランスエンジニアにとって、経費よりも継続的な案件と売り上げの確保が課題になることが多いものです。
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記事監修
桐蔭学園小学校・中学校・高校、中央大学卒業後、近藤会計事務所入所。2014年、26歳で税理士登録。2016年、28歳で祖父が開業し、父が承継してきた同事務所を3代目として事業承継。
先代たちが『税理士たるもの納税者のために体を張って頑張りなさい。』という理念の下に約半世紀に渡り事務所を運営。その理念を根幹としつつ、『かゆいところまで手が届く存在に。』『自分にできることは出し惜しみしない。』というエッセンスを加えて税理士業務に日々取り組む。
関わる全ての方々に敬意を持って誠実に対応することを強みとし、クライアントは(JASDAQ)上場企業から中小企業、フリーランス(個人事業主)と多岐に渡る。
事務所URL:http://www.kondo-kaikei.net/