プロダクトマネジャー(PdM)とは?注目される理由や役割、必要なスキル
近年、PdM(プロダクトマネジャー※以下PdMと記載)が注目される機会が増えています。
これからの時代に必要な存在として重視されているためです。
そのため、PdMは多くの現場で重宝され、活躍の場は広がっていくでしょう。
そこで、この記事ではPdMについて、その将来性や必要なスキルセット、年収、求人など気になる点についてまとめました。
PdMになるためにはどうすればいいか知りたい方や注目される理由を知りたい方などは、参考にしてください。
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PdMとは?
PdMとはプロダクトマネジャーのことです。
プロジェクトマネジャー(PM※以下プロジェクトマネジャーと記載)との混同を避けるために間に“d”を入れてPdMという表記がされています。
ただし、実際にはPdMがプロジェクトの管理を行うケースもあります。
そのため、まとめて「PM」と呼ばれることもあるのです。
PdMはもともと製造業において使われていた言葉であり、これらの業界において活躍していた職種です。
それがWebやIT業界においても派生してきたため、近年は注目度を高めています。
PdMが注目されている理由
PdMというポジションがIT業界で注目されるようになったのは、IT業界においてマーケティングの重要性が高まったことが背景となっています。
ITの進歩により、IT企業の商品であるシステム・ソフトウェアの数や市場規模が増えた結果、競争が激しくなりました。
良いシステム・ソフトウェアを作るだけでなく、顧客に選ばれるためには、設計・開発の質はもちろん、マーケティングも重要となります。
そのため、市場のニーズを踏まえて開発・販売戦略を立てるために、設計・開発・マーケティングを一貫して統括する責任者が必要とされています。
コロナ禍からのリモートワークが浸透し、はたらき方にも変容が起こっています。
また、人の価値観の変容に合わせて、商品に付随するストーリーは変わります。
社会の潮流を読み、商品のコンセプトを決め開発・マーケティングを指揮し、市場からのフィードバックにより戦略を検証・修正していくPdMの価値が高まっているのです。
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PdMの役割
PdMは、担当する商品やサービスについて、開発から販売までを総合的に管理する責任者のことです。
そのプロダクトを成功に導くためのリーダーとしての役割を期待されています。
単に開発だけにかかわるのではなく、そこから実際に販売するまでを総合的に管理することが仕事です。
そのために戦略を立てて、開発を実行し、意思決定も行います。
PdMは、商品やサービスといったプロダクトについて責任を持って管理することが求められているのです。
そのため、これからどのようなプロダクトを作るのか、どうして作るのかといった点を掘り下げて考えていきます。
PdMが正確に役割を果たすことによって、評価されるプロダクトを完成させることができるのです。
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PdMとPM/POの違い
PdMとよく似た存在としてPM/POがあります。
それぞれどのような点が異なっているのか詳しく解説しましょう。
責任範囲 | |
PdM | 商品やサービスといったプロダクトそのものに責任を持ち、市場や顧客など外へのベクトルの仕事内容が重視される。 |
PM | プロジェクトの業務計画から進行管理、さらには実行までに責任を持ち、PdMと比較すると内向きのベクトルの仕事内容になることが多い。チームを束ねる役割も持つ。 |
PO | 下流工程を担当し、現場について責任を持つ。 |
PMはプロジェクトマネジャー
PMとはプロジェクトマネジャーのことです。
プロジェクトを管理するリーダーとしての役割を与えられています。
プロジェクトの業務計画から進行管理、さらには実行にいたるまでを管理するリーダーをPMと呼ぶのです。
自身が担当しているプロジェクトについて責任を持って管理することが求められています。
プロジェクトの成功のために、いかにしてチームを束ねていくかを考えて行動することが重要です。
あくまでもプロジェクトの責任者としてプロジェクトの成功を一番に考えて行動する立場といえます。
POはプロダクトオーナー
POとはプロダクトオーナーのことです。
プロダクトマネジャーとよく似た存在ですが、異なる役割を果たします。
プロダクトマネジャーは主に上流工程を担当し、プロダクトオーナーは下流工程を担当する点が異なります。
プロダクトマネジャーは顧客や市場に寄り添ってデベロッパーとしての仕事を果たします。
一方、プロダクトオーナーは設計図をもとに開発を進めるための指揮をとる役割を果たす存在です。
責任範囲が異なる
PdMとPM、POはそれぞれ責任範囲が異なっています。
PMはプロジェクトマネジャーであり、プロジェクトの責任者として仕事をするのが特徴です。
プロジェクト成功のために人的リソースの配分からスケジューリングまでを担当します。
PdMはプロダクトマネジャーであり、商品やサービスといったプロダクトそのものに責任を持っています。
開発するプロダクトを考案する役目を果たし、その際には顧客や市場にも目を向けるのが特徴です。
POはプロダクトにどのような機能を備えるべきか、何を実装するのかを管理します。
開発よりの立場から仕事をするのです。
昨今ではPMMという新職種も登場
PMMとは「プロダクトマーケティングマネジャー」のことであり、最近新しく登場した職種で注目され始めています。
従来のPdMには多様な役割を与えられすぎていたため、新たに生まれたのがPMMです。
PMMはプロダクトの販売方法を決める専門家であり、ユーザーのニーズを見出して、そのニーズを満たすためのプロダクトの概念を考えたり、販売方法を考えたりします。
従来のPdMにはプロダクト開発に責任を持ってもらい、ビジネスに関する部分についてはPMMが責任を持つという役割分担がなされているのです。
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PdMに必要なスキルセット
これからPdMを目指すのであれば、必要なスキルセットを身に付けることが大切です。
それではPdMに求められているスキルセットを紹介しましょう。
開発に関する知識
PdMはプロダクトの開発について責任を持つ立場です。
そのため、開発に関するあらゆる知識が求められます。
実際に開発に携わった経験があることが望ましいです。
開発の現場について知らない人間は、適切に開発現場を管理することは難しいです。
開発の流れやよくあるトラブル、ユーザーのニーズを反映するためのコツなどさまざまな知識が必要です。
関連記事:開発エンジニアの種類6選!年収やおすすめの資格・言語などを紹介 |
プロジェクトマネジメント力
PdMは実際にプロジェクトを管理する立場になることが求められます。
そのため、プロジェクトマネジメントのスキルが必要とされるのです。
その中には計画立案能力やコミュニケーション能力といったものも含まれます。
これらについて詳しく説明しましょう。
関連記事:プロジェクトマネジメントとは?スキルや資格、成功させるコツを紹介 |
計画立案能力
PdMには、それぞれのプロダクトを開発する上で、最適な計画立案をする能力が求められます。
明確な計画を立てて共有することで、メンバーは自分のやるべきことを明確にできるのです。
また、適切な計画を立てることで、スケジュール管理を適切に行えるようになります。
納期までに市場のニーズに合った質の高い商品やサービスを完成させるために、計画立案能力は必要不可欠です。
コミュニケーション能力
プロジェクトを管理する立場ではチームのメンバーと頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。
指示を出したり、報告を聞いたりするなど、さまざまな場面でコミュニケーション能力が求められるのです。
PdMはリーダーという立場からチームを束ねることが求められており、トラブル時にはチームで協力して解決することが必要になります。
これらに必要なコミュニケーション能力を有していなければPdMは務まりません。
ビジネスセンス
PdMにはビジネスセンスが求められます。
市場のニーズに合ったプロダクトの開発をする必要があり、そのためにはビジネスのセンスが要求されるためです。
プロダクトのデザインについて適切な判断を行って開発を進めていく必要があります。
どのようなプロダクトが求められているのか、どのようなプロダクトであれば市場を席巻することができるかを考えるためには、ビジネスセンスが問われるのです。
業界理解
これから展開しようと考えているプロダクトの属する業界について、深く理解していることがPdMには求められます。
業界に関する知識を持っていなければ、適切な判断をすることが難しいためです。
業界のトレンドや市場の動向、将来性などを深く理解した上でPdMとしての仕事をすることが求められます。
プロダクト開発の経験
PdMには実際にプロダクト開発にかかわった経験が求められます。
実際に、プロダクト開発の現場にいたことがないと、わからないことが数多くあるためです。
現場ならではの事情を理解していれば、チームの管理をするのに役立ちます。
プロダクト開発の経験があれば、誤った判断をするのを避けられ、適切な計画を立てられるでしょう。
経営スキル
経営のスキルもPdMにとって重要なスキルです。
PdMには経営陣に働きかけてプロダクト開発を上手く進められるような仕組みや環境を整えることが求められます。
そのために経営的観点に立てるスキルが求められるのです。
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PdMの年収
IT業界におけるPdMという職種の歴史が浅い分、統計的なデータはあまりありません。
企業によっても大きな幅がありそうです。
しかし、基本的にPdMの年収は、プロジェクトマネジャーの年収に近いと想定できます。
どちらも企業の中で果たす役割は似ているため、同じような待遇で扱われるからです。
転職サービス「doda」によると、2024年12月時点でのプロジェクトマネジャーの年収は、693万円だと言われています。
20代は497万円、30代は686万円、40代は897万円と、年齢を重ねるにつれて、経験が増える分、年収が増えていきます。
PdMは技術系の職種の中では、年収の水準は高くなっています。
プロダクト開発の管理や推進を担う立場であり、大きな責任を求められるため、その分年収も高くなるのです。
高年収を求めている方にとってPdMは都合の良い職種といえるでしょう。
将来性の高い分野であり、多くの企業で求められている職種のため、求人では比較的高い年収が提示されていることが多いです。
※参考:転職サービス「doda」平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】 (2024年12月時点情報)
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PdMになるには経験を積むことが重要
PdMになるためには、実務経験を積むことが大切です。
プロダクト開発に関してまったくの未経験では難しいでしょう。
PdMになるために求められるのは実務経験であり、プロダクト開発に関する知識を持っていることです。
PdMはリーダーとして責任を持って管理をする仕事であり、プロダクト開発に関する深い理解が求められます。
これからPdMになるには、まずはプロダクト開発の現場に携わってみましょう。
その中でいろいろな経験を積み、スキルを向上させるのがよいでしょう。
PdMに資格は必要?
PdMになるために資格は必要ない
PdMになるためには特に資格は求められません。
PdMになるためのスキルは、資格試験で能力を測ることは容易ではないためです。
実際に現場でリーダーとして適切な計画を立てて、臨機応変に対応していくことが求められます。
必要なスキルセットはプロダクト開発に関する知識から、プロジェクトマネジメントの能力、ビジネスセンスなど幅広いです。
これらの能力を有していると説得力を持ってアピールできれば、資格を持っていなくてもPdMになれるでしょう。
PdMにおすすめの資格
一方で、実務経験の有無やPdMに必要な知識・スキルを持つ証明として、資格を取得することは有効です。
以下は、PdMとしてはたらく方におすすめの資格一例です。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験とは、情報処理技術者試験のひとつです。
ITストラテジスト試験では、ITを使った業務改善の戦略立案・提案に関する知識を問われます。
ITストラテジスト試験の合格率は低く、情報処理技術者試験のなかでも難易度の高い資格とされています。
ITコンサルタントやCxOを目指す方が多く受験する試験で、難関資格である分、昇進やキャリアのステップアップで有利になる資格です。
ITストラテジストに合格すると、ITストラテジスト協会に加入でき、IT戦略に従事する仲間との人脈作りや交流が可能となります。
※参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験とは、情報処理技術者試験のひとつです。
システムアーキテクト試験では、システムを設計する・要件定義をもとにアーキテクチャを策定するといった上流工程の知識や技術が問われます。
システムアーキテクト試験も難易度の高い試験であるとされており、試験の合格率は例年低い合格率で推移しています。
しかし、この資格を学習する過程でシステム設計の知識が身に付けるによって、開発プロジェクトのゼロからの立ち上げに中心となって携われるチャンスがあります。
また、システムアーキテクト試験に合格していると弁理士・中小企業診断士などの試験科目を一部免除されるため、複数の国家資格を活かして活躍する道もあります。
※参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 システムアーキテクト試験
中小企業診断士試験
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題を助言するための知識の証明となる国家資格です。
中小企業診断士試験には、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の科目があります。
中小企業診断士はさまざまな方が受験しますが、経営コンサルなど、経営課題への戦略を提案する立場の方に受験者が多い傾向があります。
PdMが中小企業診断士試験に受かると、経営の視点から設計・開発・マーケティングなどの戦略を練ることができるようになります。
※参考:JF-CMCA 日本中小企業診断士協会連合会 中小企業診断士試験
プロジェクトマネージャー試験
プロジェクトマネージャー試験とは、情報処理技術者試験のひとつです。
プロジェクトマネージャー試験では、プロジェクト管理の技術や知識について扱っています。
プロジェクトマネジャーはプロジェクトの管理を行い、PdMは開発プロジェクト以外にも販売やマーケティングの管理をするという点で、職務は異なります。
しかし、PdMがプロジェクトマネージャー試験を受けることにはメリットがあります。
例えば、ITの技術面の基礎知識を広く学べること、開発担当者とのコミュニケーションを取りやすくなることなどが挙げられます。
※参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 プロジェクトマネージャー試験
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PdMに向いている人の特徴
PdMは、プロジェクトの一部分に特化したスペシャリストとは異なり、制作物および制作物の流通・販売戦略までの責任を負います。
業務遂行能力の高さに加え、制作物を大切に思っていること、事業を成功させるための責任感といったマインド面の資質も大切です。
また、PdMは制作物に関する戦略を統括するポジションでもあるため、的確な意思決定ができるかどうかが鍵となります。
必要な情報を集め、得られた情報から遅滞なく妥当な判断をするには、論理的思考力が重要となります。
システムを作る・導入する・運用するためには、多くの人が関わります。
それぞれの部署の状況を把握し、チームメンバーが高いパフォーマンスを発揮できるよう枠組みを整えること、チームリーダーを指導することも責務です。
このためPdMには、高いマネジメント力が求められます。
また、高いコミュニケーション能力をもってはじめて、クライアントや取引先との折衝、社内のマネジメントをスムーズに遂行できます。
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PdMの認知や将来性
PdMになりたい方の中には、将来性について不安を感じる方がいるかもしれません。
PdMは現在多くの企業で注目されている存在です。
事業成長のために大事な役目を果たしていると認知されています。
どのような業界であれ、プロダクト開発の際には最適な計画を立案して実行するリーダーが求められています。
そのような重要な役目を果たせるPdMは今後の認知の広まりを期待でき、将来性があるといえるでしょう。
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ハイスキル人材としての活躍に向けて
PdMは非常に注目されており、将来性の高い職種です。
プロダクト開発の現場において、チームを束ねるリーダーとしての役割を果たします。
PdMがプロダクト開発の計画を立案して、チームを上手くコントロールしながら目標を実現させていくのです。
その結果として市場のニーズに合ったプロダクト展開していくことができ、企業の事業発展に大きく寄与します。
このようなPdMになるためには、本コラムで紹介したように、幅広いスキルが求められ、プロダクト開発の経験を積むことも重視されます。
これらの条件を満たすスキルフルな人材がPdMになることができます。
PdMにはそれだけ大きな責任が与えられており、企業のプロダクト開発の現場において重要な役目を果たすのです。
これからPdMを目指す方も本コラムをぜひ参考にしてください。
PdMとしての活躍を希望している方は、フリーランスというはたらき方に注目するのもよいでしょう。
PdMという職種は、プロジェクト単位で必要とされるため、フリーランスというはたらき方と非常に相性が良いです。
企業によっては、新規プロジェクトのPdMをフリーランスで募集していることも多くあります。
当社が提供するIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」でも、PdMに関する案件を扱っています。
また、プロダクト開発に関する案件も扱っているため、PdMになるための経験を積める案件を獲得できる可能性があります。
今後PdMとして活躍していきたいとお考えであれば、ぜひ登録してみてください。
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記事監修

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。