2025.07.23更新

SIerとは?仕事内容やSE、SESとの違いをわかりやすく解説

「SIer」はIT業界で人気の業種の一つです。

SIerに興味があるものの、実際どのような業務を行うのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「SIer」の仕事内容や種類、「SIer」からフリーランスのエンジニアとして独立する方法まで幅広く紹介します。

これからSierではたらくことを検討している方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

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「SIer」の基本情報

まずは、「SIer」についての概要や、具体的な業務内容を紹介します。

「SIer」とは?

「SIer」とは、顧客となる企業から依頼を受けて、情報システムの開発・運用・保守を行う企業のことです。

「SIer」は造語で、「SI」と「er」という単語から構成されています。

「SI」とは、「System Integration(システムインテグレーション)」の略で、情報システムの開発や運用・保守を行うことを指します。

それに英語の「er」〇〇する人、という単語を接続して、「SIer」と呼んでいます。

つまり「SIer」とは、情報システムの運用や開発を行う企業の通称です。

関連記事:SIとは?SI事業(ビジネス)の将来性やSIとSIerの違いなどを紹介

SEとの違い

項目 SIer(システムインテグレーター) SE(システムエンジニア)
指すもの 企業(組織) 職種(人)
主な役割 システム開発プロジェクト全体の統括・管理 システムの設計・開発・テスト等
業務範囲 要件定義~運用・保守まで幅広い 技術的な部分に特化
必要なスキル プロジェクト管理、ビジネス知識等 IT技術力、問題解決力等

SIerは、クライアント企業の要望に応じてシステムの要件定義・設計から始まり、システム開発、システム導入後の運用・保守業務までを一括して行う企業です。

一方、SEは、システムの設計や開発、テストなど技術的な作業を担当するエンジニア(人)のことを指します。

SIerは、要件定義から運用・保守までを担当し、プロジェクト全体を統括します。

SEの担当業務としては、技術的な部分の比重が高く、現場で実作業を担当するケースも多いです。

関連記事:システムエンジニア(SE)はどんな仕事?社内SEの違いやキャリアについて

SEとの違い

項目 SIer(システムインテグレーター) SES(システムエンジニアリングサービス)
主な業務 システム開発全工程の受託・管理 エンジニアの技術・労働力の提供
報酬対象 成果物(システム)の納品 エンジニアの稼働時間
勤務形態 自社またはグループ内で開発 客先常駐が中心

SIerとSESの違いは、業務内容・契約形態・報酬対象・はたらき方などにあります。

SIerはシステム開発全体を受託し、制作物の納品により報酬が発生します。

SESは、IT業界における業務委託契約の一つですが、一般的にはクライアントから依頼を受けた案件にシステムエンジニアをアサインし業務遂行する形態のことを指すことが多いです。

SESは、成果物の納品ではなく、エンジニアの労働力や技術を提供することで報酬が発生します。

SESエンジニアは主にクライアント先に常駐し、稼働時間に応じた報酬が発生します。

このように、SIerはシステム全体の完成責任を負う企業、SESはエンジニアの労働力を提供するサービスという点が大きな違いです。

関連記事:【SESエンジニアとは】業務内容や働き方、契約形態!働くメリット・デメリット

SIerの具体的な仕事内容

多くの企業は、独自の情報管理システムを保有しています。

しかし、技術進歩の早い現代では、その情報管理システムがいつの間にか古くなり、非効率的なものになっていることが多々あります。

一方で、リソースやノウハウの不足により、情報管理システムのアップデートを、自社だけでタイムリーに継続していくことが難しい状況にある企業も増えているようです。

そこで必要になるのが、情報管理システムの開発や運用に特化した「SIer」です。

「SIer」の業務内容は、「企画」「要件定義」「設計・開発」「テスト」「保守・運用」の大きく5つに大別することができます。

企画 システムの方針・目的・コストを決定
要件定義

システムの仕様・実装機能・費用を決定

設計・開発 プログラミングでシステムを開発
テスト 不具合を発見・修正
保守・運用 運用開始後のサポートや改善

◯企画

顧客となる企業の課題をヒアリングし、どのような課題を解決したいのか、それに伴ってどのような機能を持つシステムが欲しいのかなどを顧客と一緒に考え、システムの方針や目的、コストなど決定していくフェーズが「企画」です。

顧客の課題を解決する方法をシステムへ落とし込むには幅広い知識・経験が必要となるため、「企画」フェーズは「SIer」に務める社員の中でも、ベテランの社員が担当することが多いようです。

◯要件定義

「企画」で決まったシステムの方針や目的に対し、「どのような機能を実装する必要があるか」を定義していくのが「要件定義」です。

実際のシステム仕様や、細かい費用感を詰めていきます。

こちらも「SIer」の中でも、ベテランの社員が担当することが多いようです。

◯設計・開発

「要件定義」で、決まったシステムの仕様に基づいて設計書を作成し、実際にエンジニアがプログラミングを行い、システムを作っていく段階です。

顧客の要望を満たすための仕様などは「企画」「要件定義」の段階ですり合わせをしているため、「設計」以降のフェーズでは「SIer」の中で完結することが多いです。

◯テスト

SIerにおけるシステム開発のテストは、開発したシステムが設計書や要件定義通りに正しく動作するかを確認し、不具合(バグ)を発見・修正するために実施されます。

テストは、複数のテストを段階的に実施して、品質を確保するのが一般的です。

プログラム単位での単体テスト、複数のモジュールを組み合わせた結合テスト、システム全体の動作確認の総合テストなどにより、バグや不具合を発見します。

テストの結果、問題がなければ本番運用へ進みます。

◯保守・運用

「設計・開発」のフェーズを経て、システムの運用開始後のサポートや改善を行うのが「保守・運用」です。

システムが開発されても、実際に運用していく中でエラーが起きた場合や改善点が見つかった場合に修正を行い、顧客からの質問にも答えることが主な仕事です。

「SIer」によってエンジニアの仕事内容は変わる

「SIer」の仕事は、前述の通り「企画」「要件定義」「設計・開発」「テスト」「保守・運用」の5つに大別することができます。

しかし、「企画」から「保守・運用」まで一気通貫で担当する「SIer」は、一部の大企業を除くとそう多くはありません。

「設計・開発」専門、「維持・保守」専門というように、システムの「企画」〜「保守・運用」のプロセスのうち、一部のプロセスを扱う「SIer」も多く存在します。

そのため、「SIer」に所属するエンジアも、所属している企業がシステム開発のどこのプロセスを主に担当しているかによって、スキルセットが変わってきます

「設計・開発」を行う「SIer」であれば「設計・開発」のスキル、「保守・運用」を行う「SIer」であれば「保守・運用」のスキルを持つエンジニアが多く所属していることになります。

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「SIer」の種類

「SIer」は、「ユーザー系」「メーカー系」「独立系」「外資系」「コンサル系」などに分けることができます。

  概要 特徴
ユーザー系 大企業のシステム部門から独立 特定業界にユーザー視点の提案ができる
メーカー系 ハードウェアメーカーから独立 ハードウェア面・ソフトウェア面からのシステムを提案する
独立系 SI業務を目的に設立 技術選定の自由度が高い
外資系 海外IT企業の日本法人 グローバルな技術の導入をする
コンサル系 経営・IT戦略を提供 経営戦略からシステム導入を一貫して支援する

ここでは、それぞれの「SIer」の特徴を紹介します。

ユーザー系

◯大手企業のシステム部門が、子会社として独立

一般的に商社、銀行、保険会社など、大企業の情報システム部門が子会社として独立したのが、「ユーザー系SIer」です。

親会社やグループ会社など、特定の業界に向けたシステム開発やITソリューションの提案が主な業務内容です。

顧客となる企業の業界が絞られることがありますが、顧客と近い距離で業務を行うことができるため、よりユーザー視点での提案をすることが可能です。

関連記事:ユーザー系SIer企業とは?メーカー系・独立系との違いやユーザー系の仕事内容などを紹介

メーカー系

◯ハードウェアメーカーから発祥した系統

一般的に、パソコンなどのハードウェアメーカーの情報システム部門が独立したものが、「メーカー系SIer」です。

親会社のハードウェアとセットでソリューションを提案することが多いです。

親会社がハードウェアメーカーであるため、ハードウェア面からも、ソフトウェア面からも柔軟にシステム提案できることを強みとしています。

独立系

◯最初から「SIer」として起業されたもの

「メーカー系」「ユーザー系」のように企業から独立したのではなく、最初からシステムインテグレーション事業を目的に設立された企業のことを指します。

関連記事:独立系SIerとは?やめとけといわれている理由やメリットを紹介!

外資系

◯海外IT企業の日本法人としてITサービスを提供

外資系SIerとは、海外のIT企業の日本法人で、日本の市場に向けてシステム開発・ITサービスの提供をしているSIerを指します。

親会社の海外企業がもつグローバルで標準化されたクラウド・AI・データ分析などの技術を導入でき、経営戦略やIT戦略などのコンサルティングにも力を入れていることが特徴です。

大規模で予算の大きいプロジェクトを扱うことが多く、海外への事業展開をしている案件にも強みがあります。

外資系企業は、日本企業と比較して実力主義でキャリアの早い時期に昇進したり、高収入を得たりしやすい風土の企業が多いです。

一方で、高い語学力やグローバル感覚を持っていること、短期間で成果を出すことを求められることがあります。

コンサル系

◯経営戦略からシステム導入を一貫して支援

コンサル系SIerは、システム開発だけでなく、経営や業務のコンサルティングもあわせて提供します。

一般的なSIerが要件定義から設計・開発・運用までを担当するのに対し、コンサル系SIerは、経営戦略やIT戦略の立案から関わり、企業の業務改善や課題解決を支援します。
 

経営戦略からシステム導入まで一貫して支援することで、企業の経営課題により合致したソリューションを提供できることに強みがあります。

業務改善や業務効率化の視点からも提案ができること、高い折衝力で経営層に働きかけて業務改革を推進しやすいことも特徴です。

また、大規模なシステム導入など、難易度の高いプロジェクトを多く扱う傾向にあります。

画像

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「SIer」に就業するメリット

「SIer」に就職するメリットとしては、代表的なものですが、以下のようなものがあげられます。

自身のスキルアップが図れる

「SIer」のはたらき方は、一定期間特定のプロジェクトで開発や運用に携わり、それが終わると別のプロジェクトへ参画する、といった形式が一般的です。

そのため、さまざまな企業のシステム開発に携わることができ、経験の幅を広げることできます

また、規模の大きい「SIer」では開発未経験の領域であっても、育成を含めてプロジェクトに参画できるケースもあり、プログラミング経験の少ない人でもエンジニアとしてスキルアップすることができるでしょう。

プロジェクトごとに違う人と仕事ができる

「SIer」はプロジェクトごとに携わるメンバーが変わることが多く、特定の人と同じプロジェクトに参画し続けることは少ないです。

そのため、「SIer」の人間関係はある意味ドライなことが多いため、人間関係に悩まされることが少ない、あるいはプロジェクトによって新たな人間関係を築けるという面もあります。

元請けの「SIer」の親会社は有名企業が多い

「SIer」は、「ユーザー系」「メーカー系」「外資系」のように、商社、銀行、保険会社や、ハードウェアを扱うメーカーにおいて情報システム関連部門が子会社として独立したという企業が多いです。

このため、親会社名は、誰もが耳にしたことのあるような企業であることも多く、仕事の需要が安定しているイメージを持たれています。

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「SIer」はやめとけ?で就業するデメリット

安定した環境でスキルアップが狙える「SIer」ですが、一方でデメリットになり得ることもあります。

特に、エンジニアとしての技術力だけでなく、より裁量権やスピード感を持ってプロジェクトを進めるスキルをつけたいと考えている人にとっては、デメリットと感じる可能性があります。

下請け構造により、上流スキルの習得は元請け「SIer」の方が有利

「SIer」は建設会社と同様、下請け、孫請けというような文化があります。

具体的には、大手の「SIer」が顧客企業のシステム企画から保守までを一括で引き受け、その中の開発部分だけを下請けのA社に依頼し、A社はさらに開発の一部を孫請けであるB社に依頼する、といった具合です。

そのため、下請け、孫請けの「SIer」では顧客企業の課題解決というより、「切り出された作業」をするといったニュアンスが強く、上流の提案スキルを身につけたいのであれば、元請け「SIer」への就職の方が合っていると考えられます。

プログラミングなどに加えて、事務作業も増えがち

「SIer」は、顧客の情報管理システムを取り扱います。

そのため、情報管理が厳しく、顧客とのコミュニケーションコストも高くなります

若手社員などの場合、開発、運用のエンジニア業務に加え、契約周りの事務作業などを対応する時間が膨らむケースもあるでしょう。

スピード感に欠ける

「SIer」のはたらき方の基本は、数ヶ月〜数年かけて1つのプロジェクトを遂行するということが多くあります。

そのため、提案即実行というような形で仕事を進めることができません

複数の利害関係者と調整を重ねながら、大きなプロジェクトを少しずつ前に進めていくイメージです。

このため、仕事にスピード感がないと感じる人も多いようです。

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「SIer」から独立するには?

「SIer」の多重構造などを背景に、思ったような仕事経験を積みにくい環境であると感じる方も多いようです。

「SIer」のはたらき方に違和感を抱く人は、独立することも検討してみても良いですが、「SIer」としての経験や学べるスキルを身に付けた上で、独立する方が望ましいでしょう。。

独立までの流れ

どのスキルを活かして独立をするかにもよりますので、ここでは一例を紹介します。

独立をするために、まずはエンジニアとして経験を積む人が多いのではないでしょうか。

強みとなるスキルもなく、キャリアが浅い状態で独立をすると、仕事を得ることに苦労する可能性が高いです。

自分の強みやアピールできるようなスキルを身につけた上で、フリーランスのエンジニアに転向するという形が望ましいでしょう。

独立するメリット

独立するメリットは複数考えられますが、ここでは主に「金銭面」と「自由」の2つを紹介します。

まずは、金銭面についてです。

「SIer」は業界構造上、下請け、孫請け会社にはすでに親請け会社の手数料が考慮された状態で仕事がくるため、利益率が低くなることが多いです。

もし、フリーランスエンジニアとして活動していれば、顧客企業から直接案件を引き受けることも可能となります。

つまり、間に入る会社もないため、利益率の良い仕事を引き受けることが期待できます。

結果的に収入アップに繋がる可能性もあるでしょう。

独立する2つ目のメリットは、「自由」です。

フリーランスであれば、自身で案件を選ぶことができるため、「SIer」に所属しているときよりも、自身のキャリアイメージに沿ったスキルを身に付けることが可能でしょう。

また、取引先との話し合いにより、自身の希望に応じた稼働時間や稼働日数を調整することができるため、時間的な「自由」が増えることもあります。

関連記事:SIerからフリーランスになるには?メリットやデメリットなども解説

独立するリスク

一方で独立する上では、常に「仕事がなくなるリスク」に晒されることも認識しておきましょう。

企業に属していれば、営業担当や、ベテラン社員が案件を獲得してきてくれるかもしれませんが、フリーランスになれば、全て仕事は自分で獲得することになります。

不況の際には、スキルのあるエンジニアであっても、案件の募集自体が減ってしまい、収入が減るリスクが高まるでしょう。

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まとめ

まとめ

Web、IT業界でキャリアアップを目指す人の一つの形に、「SIer」でエンジニアの実践経験を積み、スキルを身につけて独立するという流れがあります。

フリーランスとして独立できれば収入アップだけでなく、時間的な自由も期待できるでしょう。

一方で「自分で案件を獲得し続けなければならないリスク」や「契約が短期で終了してしまうリスク」に常に晒されることになります。

こうしたリスクを減らすためには、案件を紹介してくれるサービスに登録し、なるべく案件に困らない状態を作っておくことも大切です。

IT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」は、高単価でスキルアップにも繋がる案件や長期契約可能な案件も数多く保有しています。

また、クライアントとの契約締結や稼働開始後のサポートまで、フォローアップ体制が充実しているのも大きな特長です。

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記事監修

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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