【契約書】フリーランスエンジニアが気を付けるべき契約書のチェックポイント!トラブル回避の方法など紹介
フリーランスとして仕事を行う上で、契約書は非常に重要です。
どのような関係の顧客であっても、曖昧な状態で仕事を引き受けてしまうと、後々に思わぬトラブルに発展する可能性があります。
仕事内容や条件などを明確にした契約書を残すことがトラブル回避には重要です。
今回の記事では、フリーランスが契約書を作る際の注意点や、参考になるテンプレートなどについて紹介していきます。
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業務委託契約書とは?
フリーランスのエンジニアが企業等と仕事をする場合、業務委託という形式が多くとられます。
企業がフリーランスエンジニアへ業務委託をする際、業務委託契約書を交わしますが、契約形態は準委任契約と請負契約のどちらかが多いです。
この二つはどのように違うのかを説明します。
業務委託契約
準委任契約 |
依頼を受けた仕事を履行する契約。 仕事の完成や納品の義務は負わず、一定期間依頼された業務を履行 することで報酬が支払われる。 |
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請負契約 |
成果物を完成させる義務がある契約。 準委任契約と異なり、業務を完成させる、納品するという明確な目標があり、成果物に対して報酬が支払われる。 |
準委任契約とは
準委任契約は、依頼を受けた仕事を処理することで報酬が支払われる契約です。
仕事の完成や納品の義務は負わず、一定期間依頼された業務を履行することで報酬が支払われます。
フリーランスエンジニアの契約形態として増えている契約です。
開発だけでなく、エラーの確認やテストの時にも使われることがある契約です。
ある程度業務履行にかかる工数がわかっているときや、業務履行に対して報酬を出したほうが、人材が集まりやすい時に用いられやすいです。
請負契約とは
次に請負契約です。
こちらは、成果物を完成させる義務がある契約です。
準委任契約と異なり、成果物を完成させる、納品するという明確な目標があり、成果物に対して報酬が支払われます。
そのため、完成に時間がかかっても、成果物を納品できなければ報酬を得ることはできません。
完成しても、クライアントが求める品質に達してないと判断されれば、修正する義務も生じます。
修正ができず未完成と判断されると損害賠償を請求されることもあります。
これまではフリーランスエンジニアが請け負う開発系のタスクは、請負契約で行われるケースも多くありました。
しかし、近年では、準委任契約の方が適していると考える企業も多く、プロジェクトにフリーランスエンジニアをアサインする際は、準委任契約を選択する企業も増えてきています。
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フリーランスエンジニアが契約書を作る際やチェックする際の注意点
企業とフリーランスエンジニアが契約する際、どうしてもフリーランスエンジニアは個人であるという特性上、立場が弱くなってしまうことがあります。
しかし、企業とフリーランスエンジニアは対等な立場であり、エンジニアにとって不利ではない契約を結ぶためには、しっかりと契約書に記載されている項目をチェックすることが重要です。
契約時は下記の内容に注意してください。
収入印紙の金額
契約書を締結する際、収入印紙が必要になる場合があります。
請負契約の場合、契約書に記載される契約期間・契約金額に応じて収入印紙の額面が変わります。
収入印紙を貼り忘れても契約に影響することはあまりありせんが、過怠税という税を納める義務が生じるため、貼り忘れに注意しましょう。
また、収入印紙は契約書を作成した側が負担するため、注意しましょう。
印鑑
契約書は複数箇所に押印が必要です。
契約を結ぶ双方が保管する書面を重ねて押印する割印や、契約書が複数枚になる場合に見開きに押印する契印などです。
押印は誰と誰が契約したか証明する意味の他に、契約書の改ざん・抜き取りなどの不正行為の防止にもなります。
登録印
役所に印鑑登録を行った印鑑を登録印または実印と呼びます。
フリーランスは、個人事業主として事業を行う場合には、法人化と異なり印鑑登録を必要としません。
事業の手続きで登録印を求められた際は、個人の登録印と印鑑証明書が必要です。
認印
認印とは、登録印や銀行印で使用していない印鑑のことです。
文房具店などで販売されている印鑑も認印に当たります。
ただし、シャチハタは文字部分がゴムのため、力加減や劣化で印影が変形しやすく後々、トラブルの原因となるため、認印としての使用を認められていません。
契約書の必要事項
契約書は内容に不備があるとトラブルを招きます。
契約書を交わす上で、確認しておくことが必要となる主な事項についてまとめましたので、参考にしてください。
契約形態の確認をする
準委任契約なのか請負契約なのかなど、契約形態を確認しましょう。
自分が損をしないように主張することも重要です。
特に、請負契約になる場合は、タスクを予め明確化しておき、前提条件を確認しておきましょう。
もし、イレギュラー対応を求められることがあった場合、どういった報酬になるのか予め提示してもらうことも必要です。
経費を明確にする
オンライン上でMTGや業務管理などを行うこともあるため、通信費やクライアント先などに出向く場合に交通費の発生が想定されるのであれば、どこまでが経費になるのか明確にしましょう。
特に大きなプロジェクトに参画しており、客先常駐になる場合には要注意です。
交通費や出社にかかる費用はどこまで請求できるか確認しましょう。
報酬の支払いについて確認する
どのタイミングで報酬が支払われるのか、また、どのような支払い方法なのか必ず確認しましょう。
正しく企業から支払いを受けるためにも、まずはなにより明確に文書にして残しておくことは重要です。
責任の所在を確認する
トラブルが発生した場合に備え、クライアントと責任の範囲・所在を確認しましょう。
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契約書の参考になるテンプレート
フリーランスエンジニアが契約する際の、契約書のテンプレートを掲載します。
契約書はどちらが用意する?
契約書は、クライアントから指定される場合が多いですが、両者の希望を元に決定することもあります。
実際のテンプレート例
契約内容や業務内容によって契約書は、異なるためあくまで一例としてご覧ください。
契約締結に向けて迷う場合は、法務や弁護士などに相談をしてください。
業務委託契約書
株式会社○○○(以下「甲」という)は、(個人名・もしくは屋号)(以下「乙」という)に対し、甲の○○○及び○○○を作成する業務委託契約(以下「本契約」という)を以下のとおり締結する。
第1条(業務の内容)
甲が乙に対し委託する業務(以下「本業務」という)は、甲の○○○及び○○○に対しての付帯する○○○の作成業務一式とする。
但し、○○○に付帯する作成業務の中でも○○○等は本業務に含まれないものとする。
尚、業務委託契約は(請負契約/準委任契約)とする。
第2条(契約期間)
委託業務の契約期間は20○○年○○月○○日より20○○年○○月○○日とする。
期間の延長が必要となる場合は、双方の合意のもとこれを○ヶ月まで延長できる。
第3条(委託料とその支払い)
(請負の場合)甲が乙に対し支払う委託料は、○○万円(消費税別)とする。
その支払いは乙が○○○及び○○○を甲に対して納品した月末締め翌月末日迄に乙の指定する銀行口座に現金振込みにて実施する。
尚、振込手数料は甲の負担とする。
(準委任の場合) 甲が乙に対し支払う委託料は、1時間あたり○○円(消費税別)に事前に合意した時間を乗じたものとする。
ただし、作成業務の時間大幅に増加・減少した場合はこの限りではない。
又、業務のために発生した経費については実費の範囲内に限り乙は甲に対して請求できるとする。
その支払いは乙が○○○及び○○○を甲に対して納品した月末締め翌月末日迄に乙の指定する銀行口座に現金振込みにて実施する。
尚、振込手数料は甲の負担とする。
第4条(成果物の権利帰属)
委託業務により作成された成果物に関する無体財産権及び有体物に関する一切の権利は、甲に帰属する。
第5条(秘密保持)
乙は本契約に関して知りえた情報を一切他に漏洩させてはならない。
第6条(再委託)
(NGの場合)乙は本契約を他者に再委託してはならない。
(OKの場合)乙は本契約を他者に再委託できる。
第7条(契約解除)
当事者の一方が本契約の条項に違反した時は、当事者は何らの催告をせず、直ちに本契約を解除し、また被った損害の賠償を請求することができる。
第8条(協議)
本契約に定めない事項については、甲乙協議の上、定めるものとする。
第9条(管轄裁判所)
本契約に関して生じた一切の争訟は、甲の本店所在地の管轄地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする。
以上、本契約の成立を証するため、本書2通作成し、各自記名捺印の上、各1通を保有する。
20○○年○○月○○日
甲:
東京都○○区○○○○○○○○○○○○
株式会社○○○○○○
代表取締役 ○○ ○○
乙:
東京都○○区○○○○○○○○○○○○
(個人名)
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業務委託の契約書でトラブルを回避するポイント
内容に注意を払って契約書を作成しても、内容に“穴”がある場合があります。
そのようなことが起きないよう、確実にトラブルを回避するには、どのような方法があるでしょうか。
弁護士に依頼する
法律のプロである弁護士に、契約書の内容を精査してもらう、もしくは作成してもらうこともトラブル回避に有効な手段の一つです。
弁護士は依頼者の権利や利益を守って契約を結べるよう尽力してくれますが、依頼料が発生します。
弁護士へ依頼する際は、クライアントから得られる報酬に対して、弁護士費用が見合うのか検討をしましょう。
エージェントを利用する
エージェントを利用することもトラブルを回避するのに有効です。
エージェントは案件を紹介し、フリーランスとクライアントを結ぶだけでなく、契約内容や業務内容などを調整して明確にしてくれることもあるため、事前にトラブルを回避するようにサポートしてくれます。
また、自ら営業活動をしなくても案件を紹介してくれるため、フリーランスがエージェントを利用することは、トラブル回避だけでなく多くの面で有益になるでしょう。
よくある落とし穴を知っておく
フリーランスエンジニアが契約する際に予め注意しておくべきポイントを知っておくことも重要です。
よくある落とし穴とチェックしておきたいポイントをまとめました。
<確認しておきたいポイント> |
✓ 契約の種類が、「準委任契約」なのか「請負契約」なのかを確認しておく ✓ 業務委託契約では、何を成果物とするのか認識を合わせておく ✓ 収入印紙代を節約したい場合にはクラウドサインを選択する ✓ 有効期限と延長について確認する ✓ 損害賠償が発生する場合を明文化しておく ✓ 著作権を譲渡するか確認する(譲渡した場合、ポートフォリオなどにも載せられない場合があります) |
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フリーランスが案件を獲得するには?
今回はフリーランスの契約書について、紹介しました。
インターネット上に契約書のテンプレートがありますが、それは一般的な内容であって、全ての契約に対応している訳ではありません。
自身の契約形態・業務内容に沿う契約書でなければ、契約後に無用なトラブルに巻き込まれ、時間や労力を割かれるだけなく、費用までかかることもあります。
できる限り効率的にフリーランス向けの案件を探し、案件を獲得したいとお考えであれば、IT・テクノロジー領域特化型エージェント「HiPro Tech」に登録・利用してみてはいかがでしょうか。
エージェントとして、希望に沿った案件の紹介や、面談前後のフォロー、契約内容・契約延長の代理交渉などを行っています。
案件の獲得に向けてさまざまなサポートを受けることができるため、効率的に希望する案件を獲得する可能性を高めることができます。
登録や利用は無料なため、案件獲得にぜひお役立てください。
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記事監修
2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。