ITストラテジスト試験の難易度や合格率、必要な勉強時間はどのくらい?
ITストラテジストとは、システム開発の上流で活躍する人のことを指すことが一般的であり、企業がIT技術を活用する際に、事業計画を元にIT戦略を提案、実行する役割を担います。
そんなITストラテジストには、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家試験があり、合格すると、客観的に知識や技術力を示すことに繋がります。
本記事では、ITストラテジスト試験(ST)の難易度や合格率、必要な勉強時間の目安を紹介します。
なぜ市場価値が高まり、今後も将来性があるのかにも触れますので、ぜひ最後までご一読ください。(2022年12月時点情報)
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ITストラテジスト試験(ST)の合格率
ITストラテジスト試験(ST)の合格率は、令和4年度春期を参考にすると「約15%」です。
応募者数 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 |
6,378 人 | 4,450 人 | 660 人 | 14.8% |
受験資格は必要ないものの、合格率は例年14〜15%前後で推移することが多く、その難易度は高いことがわかります。
※参考:株式会社アイテック IT資格一覧 「ITストラテジスト【ST】情報処理技術試験」
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ITストラテジスト試験(ST)の難易度
ITストラテジスト試験(ST)は、以下4種類をすべて受ける必要があるため、それぞれの難易度を紹介します。
・ 午前Ⅰ
・ 午前Ⅱ
・ 午後Ⅰ
・ 午後Ⅱ
午前Ⅰ
ITストラテジスト試験(ST)の午前Ⅰは、高度試験の共通知識問題として、すべて応用情報技術者試験(AP)から選ばれて出題されます。
出題形式は4択の選択問題から解答を選ぶもので、問題数は30問、試験時間は50分です。
試験通過のために必要な点数は60点以上ですが、令和4年春期の試験での得点者が5〜6割であったことを考えると、難易度はやや高いといえます。
文章問題も出題される傾向があるため、深い専門性を問われない試験であったとしても、十分に対策しましょう。
午前Ⅱ
ITストラテジスト試験(ST)の午前Ⅱは、専門知識問題として基礎から応用までの範囲が出題されます。
問題数は25問、試験時間は40分と短いですが、以下の分野の問題を解く必要があり、中でも大切な分野のセキュリティについては出題数が増えている傾向にあります。
・ システム戦略
・ システム企画
・ 経営戦略マネジメント
・ ビジネスインダストリ
・ 企業活動
・ セキュリティ
さらに、新傾向問題が令和4年春期で8問あったことも踏まえると、過去問だけでは対応できない可能性があり、難易度は高くなる見込みです。
午後Ⅰ
ITストラテジスト試験(ST)の午後Ⅰは、記述式の問題が出題され、主に事例について回答します。
問題数は4問、試験時間は90分間で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の事例やAIを取り上げた事例などが主な内容です。
各事例に対して何ができるのか、客観的事実をありのままに書く形で回答します。
令和4年春期でAIについての事例があったことを踏まえて周辺知識を押さえておきたい一方で、やや難易度の高いビジネス企画に対しての出題もあるため、難易度は低くないでしょう。
午後Ⅱ
ITストラテジスト試験(ST)の午後Ⅱは、論述問題で論理的な思考が求められます。
問題数は3問、試験時間は120分で、DXを取り上げた問題まで取り扱われる傾向があり、的確な文章で論述する必要があります。
午後Ⅱでは、コンサルタントとしての解決策を論述することから、論理的な思考パターンと説明力(プレゼン力)を鍛えておかなくてはその難易度の高さに苦労するかもしれません。
日ごろから事例と向き合ってみたり、幅広い選択肢を用意できるよう知識をつけたりする必要があるでしょう。
※参考:株式会社アイテック IT資格一覧 「ITストラテジスト【ST】情報処理技術試験」
独立行政法人情報処理推進機構 ITストラテジスト試験(ST)
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ITストラテジスト試験(ST)に受かるための勉強時間
ITストラテジスト試験(ST)を受けるための勉強時間は、技術や知識の取得レベルによって変わりますが、150〜200時間が目安です。
その難易度の高さから、IT業界に3〜10年ほど勤めている人であっても同様の時間がかかると考えられます。
IT知識に不安があったり、勉強が苦手だったりする場合は、200時間を目安としてやや多めに学習しておくと良いでしょう。
ITストラテジスト試験(ST)は午前・午後を合わせると300分間が試験時間のため、予習・復習は必要不可欠です。
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ITストラテジスト試験(ST)において得点を伸ばす方法
ITストラテジスト試験(ST)において、得点を伸ばす方法を以下の4つにわけて紹介します。
・ 午前Ⅰ
・ 午前Ⅱ
・ 午後Ⅰ
・ 午後Ⅱ
午前Ⅰ
ITストラテジスト試験(ST)の午前Ⅰは、基礎問題が出題されます。
得点を伸ばす方法としては、基本的な用語を覚えて内容を深く理解することが大切です。
また、過去問から出題される割合が7程度であったことを踏まえると、問題演習を繰り返して完璧になるまで覚えておくことも一つの方法です。
午前Ⅱ
ITストラテジスト試験(ST)の午前Ⅱは、用語の意味や概念などを理解しているかを答える問題が出題されます。
重点出題分野は、システム戦略、システム企画、経営戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、企業活動、セキュリティの6分野です。
基本的な用語を覚えて意味を理解しておくと、得点がとりやすくなるでしょう。
基礎を完璧にする形で覚えながらも、幅広く学ぶ必要があるでしょう。
午後Ⅰ
ITストラテジスト試験(ST)の午後Ⅰは、経営問題とその対策について出題されます。
DXやAIに関連させた事例問題なども出題されます。
得点率を高めるためにも、解答は文字数制限以内で筋道を立てて説明できるようにすることが大切です。
また、出題される事例の問題は状況や問題点を文章から読み解く力も求められるため、長文読解の能力を高めておくと良いでしょう。
午後Ⅱ
ITストラテジスト試験(ST)の午後Ⅱは、企画力や提案力を試される問題が出題されます。
得点力を高めるために、論理的な思考で客観的な意見を提示する意識を持って解答する癖をつけましょう。
3つの問題から1つを選び、小論文を書く形であることから、過去問の解答を参考により良い書き方を覚えておくのもおすすめです。
※参考:独立行政法人情報処理推進機構 「令和4年度 春季ITストラテジスト試験(ST)問題 午後Ⅰ問題」
株式会社アイテック IT資格一覧 「ITストラテジスト【ST】情報処理技術試験」
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ITストラテジスト試験(ST)の市場価値
ITストラテジスト試験(ST)の市場価値は、以下に挙げた3つの理由によって、IT業界の中でも高いとされています。
そのため、資格取得を目指す人は数多くいます。
・ 全般的なIT系の知識が身に付いていると証明できる
・ 案件獲得や転職で武器になる
・ 市場価値が高いIT人材であることを示せる
全般的なIT系の知識が身に付いていると証明できる
ITストラテジスト試験(ST)は、IT知識全般を保有していなければ合格できないほど難易度が高いことで知られています。
なぜなら、専門家として事業戦略を考える立場にあるため、開発・設計に関して全般的な知識が求められるからです。
また、知識を用いて課題をどのように解決するかまで考え出し、提案する必要がありますから、専門的な知識を有していることを証明することにも繋がります。
ITストラテジストを証明して活かせるエンジニアについて詳しく知りたい方は「Goエンジニアの仕事内容は?将来性や身に付けるべきスキルについて解説!」をご覧ください。
案件獲得や転職で武器になる
ITストラテジスト試験(ST)は国家資格として認められており、フリーランスで案件を獲得する際や転職で、自らの知識・スキルのアピールをする材料の1つになります。
本格的なIT知識を持つことを証明でき、約5年の実務経験と同等の価値と考えられることもあるからです。
ITストラテジストを証明して活かせるエンジニアについて詳しく知りたい方は「プロジェクトマネージャー(PM)にオススメの資格5選!必要なスキル・年収なども紹介」をご覧ください。
市場価値が高いIT人材であることを示せる
ITストラテジスト試験(ST)へ合格していると、幅広いIT知識を持ち合わせている証明となり、結果的に企業の方向性を決めるポジションにも携われることがあるといった事例を考えると、市場価値が高いIT人材であること示せると言えるでしょう。
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フリーランスの案件を獲得するなら「HiPro Tech」
ITストラテジストは、エンジニアとして働く多くの人が自らの保有する知識・スキルを証明するために受けるテストです。
その市場価値は高く、IT技術の普及に合わせて多くの企業が求める人材となるでしょう。
また、ITストラテジスト試験(ST)は合格率が15%前後と非常に難易度が高い一方で、フリーランスでも取得しておくとアピール材料となります。
保有する技術や知識、資格を活かし、フリーランスとして活動したいとお考えであれば、IT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」をご利用ください。
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記事監修
2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。