2023.08.01更新

スクラムマスターの役割は?取得すべき資格や必要スキルなども紹介

スクラムマスターという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

スクラムマスターとはアジャイル開発手法であるスクラムの役割の中の一つです。

この記事ではスクラムマスターについて、スクラム開発の概要、スクラムマスターの役割、認定資格や必要なスキルなどを紹介します。

特にアジャイル開発やスクラムについて興味がある方は、記事を読むことでスクラムマスターについての理解が深まるはずです。

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スクラムとは?

従来のソフトウェア開発では、要求分析、設計から実装、テストまでを一連の流れで行うウォーターフォールモデルといった開発手法が一般的でした。

ところが、ウォーターフォールモデルでは途中で仕様が変更になったり、後続の工程でトラブルが発生したりしたときに手戻りが大きすぎるという弱点がありました。

そこで登場したのがアジャイル開発手法です。

アジャイル開発手法では要求分析からテストまでの工程を一度に行うのではなく、1週間から4週間の細かい単位に区切ってリリースを繰り返します。

リリースしたものへのフィードバックを得ながら開発を進めていくことで、想定する成果物と実際に完成される成果物のギャップを埋めようと考えられたものです。

スクラムはアジャイル開発手法の一つです。

プロジェクトをスプリントと呼ばれる数週間程度の単位に区切り、要求分析からテストまでの一連の工程を行います。

スプリントを繰り返しながら、修正点を是正し要求に沿ったシステムを作り上げていきます。

価値やリスク、必要性、期限などを基準にタスクの順番を決め、チームとしてプロダクト(成果物)の完成を目指します。

スクラムの根本的な考え方として次にあげる三本柱があります。

透明性

プロセスや作業は、作業に関わる人に見える必要があります。

問題点を見える化することでチームの共通理解につなげるためです。

透明性によって検査が可能になります。

検査

潜在的な問題を検知するために、成果物や進捗状況は頻繁に検査される必要があります。

検査によって適応が可能になります。

適応

検査の結果、成果物が受け入れられるものではなかった場合、できるだけ早くアクションを起こす必要があります。

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スクラムにおける三つの役割

スクラムはスクラムチームで構成され、それぞれ次のようなロール(役割)を持っています。

プロダクトオーナー

プロダクトオーナーはプロダクトに対する最終的な責任を持ちます。

スクラムでは機能や要求、修正などのリストを作成します。

これをプロダクトバックログといいます。

プロダクトオーナーはプロダクトバックログを適切に管理し、必要に応じてプロダクトバックログの変更を行い、スクラムチームに明確に伝えます。

プロダクトオーナーが決定したことはプロダクトオーナー自身でしか変更できません。

プロダクトバックログを変更したい時はプロダクトオーナーに相談する必要があります。

スクラムマスター

スクラムのルールはスクラムガイド と呼ばれる文書で定義されています。

スクラムマスターはスクラムガイドで定義されているスクラムのルールに則ってプロジェクトが進んでいるかに対して責任を持ちます。

チームにスクラムを導入し、チームがスクラムの理論を理解した上で開発を進めているかをチェックし改善します。

また、プロダクトオーナーのサポートも行います。

チーム

スクラムでは開発に関わる人すべてをチームと定義します。

チームはプロダクトオーナーが作成したプロダクトバックログを順に消化していきます。

チーム内にはサブチームや階層は存在せず、すべてのメンバーが一つの目的に集中して開発を進めます。

開発過程で発生するあらゆる問題に対して柔軟に、そしてスピーディに対応するため、組織は大きくせず通常は10人以下で構成されます。

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スクラムマスターとプロジェクトマネージャーの違い

スクラムマスターはウォーターフォールモデルのプロジェクトマネージャーと混同されることがありますが、その役割は異なります。

プロジェクトマネージャーの仕事はスケジュール管理、チーム編成、意思決定などプロジェクト全体の取りまとめです。

その掌握範囲は予算管理などのビジネス的な分野にまで及びます。

プロジェクトマネージャーの手法はトップダウンアプローチであるといえるでしょう。

スクラム開発ではプロジェクトマネージャーは存在しません。

スクラムマスターはプロジェクトマネージャーのようなトップダウンのアプローチではなく、スクラムチームにスクラムの理論を浸透させ、スクラムによる開発をサポートすることが主な仕事です。

ときにスクラムチームに降りかかる障壁を排除したり、問題が発生したらプロダクトオーナーを支援したりして問題を解決することもあります。

スクラムマスターが取得すべき資格

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スクラムマスターが取得すべき資格

スクラムマスターになるのに必要な資格は現在のところありません。

しかし、スクラムマスターの能力を認定する資格は存在します。

ここではScrum Alliance®が提供する認定資格について解説します。

(2021年06月時点情報)

認定スクラムマスター

アメリカの非営利団体Scrum Alliance®が提供する認定資格です。

スクラムマスターの認定資格の中ではもっともメジャーなものでしょう。

研修の中で以下の内容について学習し、理解度を認定試験で問われます。

試験範囲は主にスクラムガイドから出題されます。

  • スクラムの本質とその主な原則
  • スクラム三つの役割と特権
  • スクラム五つのイベントとは
  • スクラム三つの作成物の作り方・管理方法
  • バックログアイテムの見積もり・納期の予測
  • スプリントの実践
  • 継続的な改善とチームワーク

合格点

60分間の全50問の選択問題で、37問以上正解すれば合格です。

資格取得までの流れ

認定スクラムトレーナーによる数日間の研修を受けたのち、認定資格試験を受験します。

研修の日程は研修主催者により異なりますが、認定試験受験のためには研修受講は必須です。

研修はオンラインミーティングツールなどを使用して行われます。

試験そのものの難易度も高いですが、それ以上に研修がハードに設定されています。

ワークショップ形式で課題に取り組み、トレーナーからレビューを受けるという実践形式を繰り返し行われます。

講義は英語で行われますが、日本語の逐次通訳があり使用する資料にも日本語の記載があります。

研修終了後に認定スクラムトレーナーより受験資格が与えられます。

認定試験はScrum Alliance®のWebサイト上で受験します。試験もまた日本語で受験可能です。認定試験に合格することで認定証が発行されます。

※出典:Agile Business Institute

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スクラムマスターに必要なスキル

スクラムマスターにはさまざまなスキルが必要です。

スクラムの基本概念を理解しているのはもちろん、それを伝達する力やリードしていく力なども必要になります。

スクラムマスターに必要な能力を見ていきましょう。

教える能力

スクラムマスターはスクラムの知識や技術をスクラムチームに教える役割を担います。いわばスクラムチームのコーチといった存在です。

物事を分かりやすく正確に伝える力が求められます。

また一から十まで自分がティーチングするのではなく、ときにはチームのメンバー自身が気づきを発見するよう促すことも必要です。

より良い環境作り

チームが仕事に集中できるように障壁を事前に取り除くのもスクラムマスターの役割です。

チームがより効果的に開発に集中できる環境を構築する手助けをします。

問題が発生したら速やかにプロダクトオーナーと相談しながら問題の解消に取り組まなければいけません。

コミュニケーション能力

プロダクトオーナーやチームのメンバー、およびシステムに関わるステークホルダーとの信頼関係を築くためにコミュニケーション能力は不可欠です。

スクラムに限らず、アジャイル型の開発ではフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが重視されます。

スケジュール管理能力

スクラムマスターはスクラムの導入から、実施方法の計画にまで責任を持ちます。

スクラムがチームにスムーズに導入されるようスケジュールを管理できる能力が必要です。

サポート能力

スクラムマスターのもっとも大きな仕事はチームへスクラムを導入することです。

スクラム導入のためのトレーニング、スクラムの実施への助言を行い、スクラムチームをサポートします。

また、プロダクトバックログの管理方法について、プロダクトオーナーをサポートすることもあります。

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まとめ

スクラムマスターはスクラム開発の核となる存在です。スクラムの基本概念を明確に理解し、スクラムチームへスクラムを導入するためにコーチングを行います。

チームに対するさまざまな障壁を排除して、開発をスムーズに進行する役割も担っています。

スクラムマスターになるのに資格は不要ですが、認定資格が存在するため資格を取得するのもスクラムマスターへ近づく一つの方法でしょう。

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記事監修

2006年に株式会社インテリジェンス(パーソルキャリア株式会社)へに入社。 アルバイト領域の法人営業や新規求人広告サービスの立ち上げ、転職サービス「doda」の求人広告営業のゼネラルマネジャーを歴任。 2021年11月からIT・テクノロジー領域特化型エージェントサービス「HiPro Tech」に携わり、現在サービス責任者を務める。 「一人ひとりが求めるはたらき方や案件との出会いを増やし、キャリアをデザインできるインフラを提供する」ことを自らのミッションとして掲げ、サービス運営を行う。

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